プロローグ「精霊王女、城を抜け出す」
初めまして。
この作品を読んでいただき、ありがとうございます。
この物語は、精霊界の王女であるミリィが、好奇心のままに人間界へ飛び出してしまうところから始まります。
精霊界最強クラスの力を持ちながらも、本人はいたってマイペースで元気いっぱい。
そんなミリィが人間の魔術学院に潜入したら、一体どんな騒動が起きるのか……というお話です。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは、精霊王女ミリィの物語の始まりをお楽しみ下さい。
(Xにて動画公開中)
精霊界の空は、今日も透き通るように青かった。
精霊城の最上階。
王族の居住区にある大きなバルコニーで、金髪の少女は頬を膨らませていた。
「むぅ……」
少女の名は――
ミリシア・ハーヴァリィ・バレンタイン、通称ミリィ。
精霊界第一王女。
そして、精霊界でも屈指の魔力を持つ存在である。
だが。
「……つまんない」
王女らしからぬ言葉が、ぽつりとこぼれた。
城の外では、精霊騎士団《六翼》が巡回している。
王女であるミリィは常に護衛付き。城から勝手に出ることなど許されない。
けれど。
ミリィの瞳は、遠い空を見つめていた。
その先にあるのは――人間界。
「いいなぁ……人間界」
机の上には、こっそり集めた本が積まれている。
人間界の街並み、人間の食べ物、魔術学院の生活……
その中でも、ミリィが一番好きなのは――
魔術学院の本。
「制服……授業……友達……」
本のページをめくりながら、ミリィは頬を緩ませた。
「私も通ってみたいなぁ……」
その瞬間。
ミリィの頭に、ひらめきが走る。
「……あ」
数秒の沈黙。
そして。
「……行けばいいんだ!」
王女とは思えない結論だった。
その日の夜。
精霊城の屋上。
月明かりの下で、ミリィは小さく笑った。
「準備、完了!」
手には、ひとつの指輪。
精霊魔力を抑えるための魔道具――精霊封印指輪。
「これがあれば……たぶんバレないよね?」
ミリィは指輪をはめる。
次の瞬間。
彼女の体から溢れていた膨大な魔力が、すっと消えた。
「うん、いい感じ!」
そしてミリィは、空に向かって手をかざす。
「転移魔法――」
精霊王族しか扱えない超高位魔法。
空間が静かに歪む。
「えっと……目的地は……」
ミリィは本を思い出す。
人間界の都市――リーメル。
そして、その近くにある学院。
「ルミナリア王立魔術学院!」
魔法陣が輝いた。
「いってきまーす!」
その瞬間。
精霊界から――王女が消えた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
序章では、ミリィが精霊界を抜け出して人間界へ向かうところまでを書きました。
次回からは、いよいよルミナリア王国と〝ルミナリア王立魔術学院〟が舞台になります。
好奇心旺盛なミリィが学院に通い始めたら、きっと色々な事件やトラブルが起こるはず……。
これから
・学院生活
・新しい仲間との出会い
・魔術試験やバトル
・そしてミリィの正体がバレるかもしれないピンチ
など、色々な展開を書いていく予定です。
もし「続きが気になる」と思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけるととても励みになります。
次回、第一話もぜひ読んでいただけると嬉しいです。




