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第41話 幸せです

 九尾と戦ってから、数か月の月日が経った。


 羅刹様の傷は、あやかしだからなのかすぐに塞がった。

 けれど、私の腕は簡単に塞がらなかった。


 その間、周りのあやかし達が心配してくれていたけど、今はもう塞がった。

 でも、傷は残ってしまったなぁ。


 まぁ、ただ増えただけだし、いいか。

 それに、どんな古傷があろうと、羅刹様は私を見てくれる。


 そう思うと、この傷跡は勲章。そう思えるようになった。


 そして今日は、ずっと楽しみにしていた日。


 ――――水喜姉さん。


 襖の奥から聞こえたのは、我が愛しの妹の声!!!


「いもうとぉぉぉおぉおおおお!!!」


「さすがに名前で呼んで」


「水奈ぁぁぁああああああ!!」


「叫ばないで!!」


 襖を開けると、水奈が呆れたように頭を抱えていた。

 その姿も美しくてかわいくて大好きよ!!


「ところで、水喜姉さん。今日が何の日かわかっているの?」


「わかっているよ。だから、これから筋トレをして、プロテインを飲んで。その後は朝ご飯にハラミを――」


「今から準備です!!!」


「え? えーーーー!!!」


 水奈に手を引かれてしまい、衣装部屋へと連れていかれる。


 そこには、ふてくされている雪女さんと、ウキウキで準備している百々目鬼さんの姿があった。


 まぁ、二人のその態度はわかる。

 けど、雪女さんが素直に来るとは思わなかった。


「雪女さん……」


「何よ。もしかして、勝ったと思っているの??」


「い、いえ、そんなことは……」


「勘違いしないでよ。私は別に、お祝いするためにここにいる訳ではないの。羅刹様の隣に立つ貴女が下品な姿だと、周りの迷惑になるから仕方なくよ!!」


「下品、とは……」


 と思いつつも、フンッ! と、鼻を鳴らしている雪女さんが可愛すぎる!!


 最近の雪女さんは、最初程ツンツンしていない。


 今みたいなのは日常茶飯事で、普通に恋愛相談とかにも乗ってくれる仲まで上り詰めたのだ。


「では、まずは髪を整えますね」


「よろしくお願いします」


 鏡の前に座り、百々目鬼さんと雪女さんに髪を整えてもらう。


「それにしても、まさか本当に羅刹様がご結婚されるなんて思わなかったわ」


「何を言っているのですか、百々目鬼さん。あの羅刹様ですよ、引く手あまたです」


 そう、今日は私と羅刹様の結婚式。

 まぁ、式と言っても、身内だけで行う小さなもの。


 それに、式はこの屋敷で行う。

 街の方の結婚式も案に出たが、すぐに却下された。


 あやかし達も羅刹様の結婚式には出たいと言ったため、人間の結婚式会場だと騒ぎになってしまう可能性があると狗神さんが言ったのだ。


 なので、大広場は今、あやかし達が飾り付けをしてくれている。

 そして、狗神さんは羅刹様と共に色々やっているみたい。


 ちなみに、料理は大蛇さんが準備してくれる。

 以前に、何かあれば毒を用意してくれるか聞きに行った時に、同時にお願い出来たのだ。


 まぁ、その時はなぜか、憐れみの視線を向けられ「辛かったんだな」と、意味の分からないことを言われたけど。


「では、仕上げをする前に着換えましょうか」


「わかりました」


 和装だから、私が着るのは白無垢。

 初めて白色に囲まれるから、緊張してしまう。似合うかなぁ?


 そんな不安を抱えながら、準備は完了。

 水奈が羅刹様を呼びに行った。


 数分後、羅刹様の声が聞こえてきた。

 なんか、おどおどしている。ふふっ、可愛い。


「連れてきましたよー!!」


 水奈が連れて来た羅刹様と目が合った。


「――――死んでもいいですか?」


「駄目だ」


 羅刹様のお姿が綺麗すぎて天に召されるところだった。

 いっそ、ここで死んでもいい許可を得たのなら死んでいた。


「水喜、綺麗だな」


「死んでもいいですか?」


「それ以外の言葉はないのか……」


 涙が出そう。本当に、かっこいい。嬉しい。


「では、行こうか」


「はい!!」


 差し出された手を掴み、私は立ち上がる。

 廊下は、私達を祝うようにあやかし達が花吹雪を散らしてくれた。


 まさか、虐げられていた私が、ここまで祝われることになるなんて思わなかった。


「水喜」


「はい」


「幸せか?」


 ふふっ、羅刹様。

 その質問、もう答えは決まっていますよ。


「はい。幸せです!!」


ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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