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第38話 風の刃と血の弾丸

「これって……」


「貴女様であれば、少しは自分で戦えるでしょう。それで少しばかり、自分の身をお守りください――――っ!!」


 ――――ザシュ


「なぁにを話して――――おやぁ」


 狗神さんへと攻撃が放たれたみたい。

 だけど、狗神さんは無事。逆に、九尾の尾が一つ、傷ついている。


「――――やはり、鬼か」


「まぁな」


 羅刹様の手に、刀が握られていた。

 でも、普通の刀ではなさそう。


 赤い、まるで、血の色。

 月光に照らされ、煌々と輝いている。


 っ、腕。

 羅刹様の左腕から血が流れている。


 でも、九尾の狐は私達に攻撃を放ったはず。


「ほう、面白い武器だ。それは、血で作られた刀か? 折っても意味は無いということじゃのぉ〜。おもしろい」


「楽しんでもらえるといいんだがなぁ」


 刀を構え、羅刹様は上空へと行ってしまった。

 上に行ってしまえば、私は何も出来ない。


「ふふっ。いいのかのぉ〜。下に婚約者を残して」


「問題ない。任せたぞ、狗神、雪女」


 狗神さんと雪女さんは「了解」と、私達を守るように廊下へと立つ。

 すると、奥の方から足音が聞こえ始めた。


 嫌な予感が走り、水奈を引き寄せ、抱きしめた。


「いい心がけです、水喜様。どうか、水奈様をお守りください」


「狗神さんは……」


「問題ありませんよ。我々は、羅刹様に従える中でも、戦闘に向いた力を持っております」


 え、そうなの?

 でも、雪女さんは女性。いくら強気な性格でも、怖いものは、怖いんじゃ……。


 雪女さんを見ると、青色の唇が横へと引き延ばされていた。

 なんか、楽しそう??


「羅刹様に近付く者は、一人でも許しませんことよ」


 …………。


「わかりましたね」


「はい」


 狗神さんより、雪女さんの方が大丈夫な気がしてきた。

 水奈と一緒にポカンとなっていると、廊下の奥から刀を持った男性がたくさん現れた。


「雪女さん、背中は預けましたよ」


「あえて口にしなくていいわ、勝手に任せなさい」


 二人が言うと、動き出した。


 狗神さんは狼のような、大きな獣の姿へと変貌。

 雪女さんは、白い息を吹きかけ、男性達の足元を凍らせ身動きを封じた。


「「すご……」」


 水奈と言葉が揃ってしまった。


 狗神さんは、次々と男性の足を噛んでいく。

 操られている男性達と言うのを理解しているからなのか、身動きを封じる程度の噛みみたいだ。


 雪女さんは、変わらず白い息を吹きかけ男性達の動きを封じていた。


 男性達は、二人の動きについてこられずに茫然。何も出来ずに身動きが取れなくなっている。


「すごいね、水喜姉さん」


「うん。でも、油断しないでね、水奈。私が出来る限り守るけど、警戒だけは解かないで」


「わ、わかった」


 口ではそう言うけど、私の出る幕はなさそう。

 それくらい、二人の動きに無駄がなく、危なっかしさもない。


 私も、二人みたいにもっと、強くなりたい。


「――――ふむ。良い従者を持っているようじゃのぉ」


「信頼できる者達だ」


「そうか。だから、そなたは妾に集中できるのかのぉ~」


「そういうことだ」


 上、空気が変わった。

 下は狗神さんと雪女さんが守ってくれているから問題はない。


 今、一番危険なのは、羅刹様だ。


 たしか、九尾の狐は、夜の羅刹様でも勝てないかもしれない程に強いと言っていた。


 もしかしたら、酷い怪我をしてしまうかもしれない。


「――――羅刹様、お願い、無事でいて」


 ※


 羅刹と九尾は、お互いの動きに警戒しつつ、見つめ合う。

 羅刹は緊張で汗が滲む。だが、呼吸は崩さず、集中力は高め続けた。


 逆に九尾は余裕そうな顔を浮かべ、扇子を開き口元を隠した。


「鬼は弱体化したと思っておったが、そうではなさそうじゃのぉ。隙がない、面白いのぉ~」


「話している暇があるのか?」


 羅刹は目を細め、狙いを定める。

 空中を蹴り、刀を振り上げた。


 九尾は、迫りくる刃を扇子で意図もたやすく受け止める。

 ガキンと、大きな音が響き渡った


「よい攻撃だ。一瞬でも防御が遅ければ、腕がなくなっていたのぉ~」


「…………」


 すぐに下がり、またしても攻める。

 だが、羅刹の連撃すら九尾は扇子で受け止め、体を捻り回避する。


「ふむ。いい攻撃じゃが、単調で詰まらんのぉ〜。攻撃とは、こういうやり方もあるんじゃよ??」


 ニヤニヤと笑いながら、九尾は扇子を振り上げた。

 瞬間、突風のような風が引き起こされた。


 羅刹は両手で顔を隠すが、何故か腕が薄く斬られ血が流れ出る。


「っ、これは……。刃の風か」


「ご名答。面白いじゃろう?」


「あぁ、たしかに面白い」


 口では面白いと言っている羅刹だが、目は笑っていない。

 眉間に深い皺をよせ、刀を構えた。


「――――では、我も飛び道具を使おう」


「ほう? 刀でも投げるんかのぉ。やってみるがよい」


 クスクスと笑い、一切余裕を崩さない。

 そんな九尾を見て、羅刹は構えた刀を下ろす。


「刀を飛ばすわけなかろう。あほうが」


「それじゃ、何を投げる気じゃ?」


「ふん。これだ」


 言いながら、人差し指を噛み、血を流す。

 噛んだ手で銃の形を作ったかと思えば「バンッ」と、一言口にした。


 瞬間、弾丸が九尾へと放たれ、頬を傷つけた。


ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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