第1話 虐げられし祓い屋
「お前は我ら一族、高浜家の恥さらしだ!」
これは、毎日のように聞いている父親からの言葉。
「本当に、なんでこんなにも醜く力もない底辺が生まれてきてしまったのかしら。汚らわしい」
これは、毎週のように聞いている母親からの言葉。
両親は、私を家族と思っていない。
力を持っていない私は、祓い屋である高浜家の恥。
「それに、そんな大きな汚らしい火傷を負った女なんて、男に見向きすらされないわ。まったく、本当に煩わしいわね。いい男を連れて来ることもできやしない」
私の左腕には、大きな火傷の痕がある。
痛みはもうない。古傷が残ってしまっただけ。
力もない、女としての魅力もない。
だから私は、女中以下の扱いをされている。
掃除や洗濯は女中にすら押し付けられ、居場所は大きな屋敷の角にある日当たりの悪い畳部屋。
テーブルも座布団もない、ボロボロな一枚の大きな布があるだけ。
食べ物は、家族の残り物。残らなければ、ご飯はない。
お風呂も、お湯がもったいないという理由で、一週間に一回しか入れない。
私がなにか言えば、食事もお風呂もなし。
そんな扱いを受けている私だけれど、生きがいが身近にいるから何でも我慢が出来る。
それは、誰に似たのかわからない程に美しく可愛い、それでいて人当たりが良く可憐な妹だ。
妹はいつも豪華な食事に、毎日のお風呂は当たり前。
美容にもお金をかけ、服は毎日上物で着飾っている。
でも、それは当たり前のこと。
だって、妹には祓う力がある。自分でお金も稼げる。
だから、妹が優遇されることに関しては、特に何も思わない。
逆に、酷い扱いをしていたら私が両親に激怒していた。
そんな妹に、私は一つ疑問を抱いていた。
家族にも、力にも恵まれている妹は、なぜか私に声をかけてくる。
両親の目を盗んで私の部屋に来ては、今日の出来事を話す。
満面な笑顔を浮かべ、心から楽しそうに、ぼろぼろの私に反しかけてくれる。
それが、私にとって唯一の家族の時間となっていた。
でも、私は知っている。
妹は、私に会っていることがばれると、両親に怒られている。
すごい怒声が、離れにいる私にまで聞こえてくる。
それでも、妹は私に会いに来る。
何度も「来ない方がいいよ」と伝えても、必ず会いに来る。
話をする、お花やお菓子まで持ってきてくれる。
そんな妹が愛おしくて、可愛くて仕方がない。
色白の肌、ぱっちり二重の茶色の目。
耳が隠れるくらいの短い髪、艶がありほのかに香る花の匂い。
私は、妹が私の状況を知っても満面な笑みを浮かべて穴仕掛けてくれた時決めたのだ。唯一の家族である妹を全力で守ると。
力が無くても、両親に罵られていても、この女神のように美しく可憐で、可愛い妹を絶対に守る!!
なんたって、私は根っからの――――面食いだから!!!
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