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1.バカ仏

何の変哲も無い日常。直哉は1日8時間週5日働き、定時に帰る。時々、残業ありがあるけども、ほのぼのと暮らしている。特に面白いこともなく、家に帰りYouTubeを観たり、ゲームをしたりする毎日。平和だけど、結構退屈。でもまあ、平和に暮らせるならいいか。呑気にそんなことを考えていた。

 

 明日は休みだし、ドラクエ3でもやるかー。仕事疲れたし、ひたすらに眠い。もう寝ちまおう。

 

 外は激しい雷雨に襲われていた。大雨警報が発令されるほどの大雨。川が増水し、氾濫しかけていた。外からは雨が激しく壁にぶつかる音が聞こえる。

 

 めちゃくちゃ天気悪いな、こりゃ外には出られませんな。やっぱり、家にいるのが一番!

 

 激しい雨の音を気にすることなく、眠りにつく直哉。疲れすぎていたせいか、ぐっすり眠りにつく。


 これから起こることを知らずに……。

 

 「ーやっべ、やっちまった。どーしよ、まじやっちゃった……。」

 

 どこからともなく男性の声が聞こえてくる。ぶつぶつと何かを話しており、何だかとても焦っている様子だ。寝ぼけているせいか、内容はよく聞き取れなかったが、そんなことはどうでも良かった。ただひたすらに眠かった。

 

 ったく、うるさいな……。こっちは疲れてるんだよ、寝かせてくれよ。

 

 謎の声を無視し、直哉はまた眠りにつく。謎の人物の独り言はまだまだ続く。

 

 「ーまた怒られるぅ、あー、もー、嫌だー!あー!」

 

 流石にうるさい。というか、めちゃくちゃうるさい。甲子園のサイレンの如くうるさい。流石に眠れたもんじゃ無かった。思わず目が覚めてしまう直哉。我慢できずに声を荒げる。

 

 「誰だよ、うるさいな!こっちは仕事で疲れてるんだよ!ゆっくり寝かせてくれよ!」

 

 文句を言い、重い瞼をゆっくりと開ける。すると、そこには仏姿の男性があわあわと忙しなく動いていた。

 

 「ゆ、夢!?仏様?何だこの夢?」

 

 仏の姿をよく見ると、佐藤二朗そっくりであった。というか、佐藤二朗そのまんまであった。佐藤二朗をパンチパーマにして、お坊さんがよく着ている法衣を着せた感じだ。

 

 「え、佐藤二朗?佐藤二朗が仏?何だか観たことあるような……。」

 

 そんなことを考えていると、仏がこちらを発見する。二度見、三度見、もう何度見か分からないほど、こちらを見てくる仏。仏の顔は至って真面目であったが、何だかふざけているようにも見えた。

 

 「あ、やべ、起きちゃった、やべ、どうしよ、やべ。あーもう!あー!」

 

 さらに忙しなく動き、あたふたし始めてしまった。腕をバタバタと動かし始め、動きがとてもうるさくなる。

 

 「あのー、ここはどこですか?夢ですか?」

 

 意外と冷静な直哉。仏に堂々と質問をし始める。仏は動くのをやめ、直哉を見据える。そして、真面目な顔でこう語った。

 

  「えーっと、残念ながら夢ではありません!あなたは現世から消されてしまいました。」

 

 ん?現世から消された!?んー、どう考えても訳がわからない。死んだってこと?消えたってこと?全く意味不明だ。

 

 「現世から消されたって……、どうしてですか?何か悪いことしました?」

 

 直哉が質問すると、都合が悪そうに黙り込む仏。また、顔や手足を忙しなく動かし始め、おどおどし始める、てか、おどおどしすぎであった。一向に話し始める気配がない。

 

 「あのぉ……、なんで消されたか教えてくれませんか?」

 

 一息つき、仏の表情が先ほどよりも硬くなり、真面目な顔になる。仏が意を決したように話し始める。

 

 「ミスりましたっ!」

 

 ん……?え……?ミスった?ん……?はい……?

 

 直哉は冷静に考えるも訳がわからなすぎた。仏がミスりました?訳がわからなすぎるので、考えるのをやめた。というか、この仏の言うことを聞いても何だか無駄な気がした。

 

 「あのー、本当に、本当に、ごめんなちゃい☆」

 

 辺りはさらに静まり返り、直哉は立ち尽くすしか無かった。体験したことのない寒気が直哉を襲う。

 

 おじさん仏が顔の近くでピースをしながら、謝る。きつい……、とてもきつい……。てか、謝る気ないだろ、この仏。この仏、実はバカなんじゃないか?沸々と怒りが込み上げてくる。

 

「ミスったんなら、大人しく戻してくださいよ。仏ならそれくらいできるんじゃないですか?」

 

 大きく深呼吸をし、喉から出かかっていた怒りを抑えながら、静かに語りかける直哉。

 

「あのー、それができないのよね。うん。えーっと、本当に、ごめんなちゃい☆」

 

 仏はまた顔の近くでピースをしながら、謝る。何度見ても、やはりきつい……。これは完全にふざけている……。ブチギレそうになるのを抑える直哉。てか、抑えるの無理でした。

 

「あんたのミスで現世から消されたんだろ?あんたが責任を持って、現世に返せよ?バカ仏!!!」

 

 これでもかというくらい大声を出し、怒鳴り散らかす。思わず、仏に暴言を吐いてしまった。(仕方ないよね。)

 

「バカ仏とは何だお前!!!一応、仏だよ?結構偉いんだよ?そのさー、仏に向かってバカはないんじゃないの?ねぇ?」

 

「バカはバカだよ!バカ仏!!!早く現世に戻せよ!」

 

「もう怒ったもんねー。もう現世に戻してやらないもんねー。」

 

 バカにされたのがとても悔しかったのか、子供のように拗ね始める仏。そっぽを向き、直哉の方を見ようともしない。流石に直哉も疲れてきたので、適当に謝って、丸く収めることにした。

 

「はい、ごめんなさい。私が悪かったです。現世に戻してください。」

 

 心を殺して、真顔で仏に謝ってみる。人生で一番の棒読み。AIの棒読みに勝るほどの棒読みであった。

 

「無理でーす!もう知りませーん!」

 

「ほんとバカだな……。バカ仏……。」

 

 心の底から呆れた直哉は、ぼそりと愚痴るのでした。

 

「バカ、バカって、もう怒った異世界に飛んじゃえ!ジャジャジャーン!」

 

 謎の呪文を唱えると、直哉の体はゆっくりと宙に浮き始める。無重力って、こんな感じなのかな。そんなことを思っていると、目の前にブラックホールのようなものが現れる。体が徐々にブラックホールに引き寄せられる。

 

「や、やめろ!現世にもどせ!バカほと……」

 

 言い終わる前に、飲み込まれてしまった。直哉は宙に浮いた体が、どこかに飛ばされるのを感じることしかできなかった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

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