表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/35

5 鍵

「あぁ、金額が知りたければ、証明書みたいな紙を店主から受け取っていたようだけど」

「証明書…」


スカートのポケットに手を入れるが、紙は入っていない。


「テーブルの上じゃないかな」


男性の視線をたどる。

ローズが寝ていたソファのテーブルに、一枚の紙と鍵が置いてあった。


「鍵…?」


魔道具ではない、シンプルな形の鍵だ。

ローズには見覚えがない。


「この鍵は…」


鍵から男性に視線を移し、ローズは続きを言うのをやめた。

彼は何も言わなかったが、その両手に嵌められたのは手錠。当然鍵がかかっている。


「……」


鍵を握ったまま、視線を戻してテーブルの上の紙を見る。

確かに、厚めの上質な紙には証明書と印字されて、数字とローズのサインが書かれてあった。

しかし、受け取って握りしめたのか、シワシワで数字の部分が絶妙に読めない。

1なのか7なのか0の数すらあいまいだ。


「…喉乾いた…」


朝から驚きの連続で疲れたローズは、当初の目的だった歯磨きから始めることにした。


「えぇと、手を出してくれます?」

「はい、どうぞ。ご主人様」


洗面所の扉に寄りかかったままの男性の視線と合わせるべく、ローズも屈む。

差し出された両手をそっと掴むと、手枷の鍵をあけた。

カシャンと金属音がして、手枷が落ちる。


「…良かった。怪我はしてないようね」


手枷は男性の手首の幅と同じくらいだったのだ。少し乱暴に手枷を引っ張るだけで、簡単に怪我をしてしまいそうだと、ローズは心配していたが両手とも傷はない。

床の上に落ちた枷を拾って、鍵と一緒にテーブルの上に置く。


「まずは朝ごはんにしましょうか」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ