甘い声
突然服を脱ぎ出した。そのあとに、両手で顔を挟み、じっと潤んだ瞳で見つめ始めるから何をするのかと待ってみたが、酩酊状態のお手本のように、目の前のご主人サマはソファに倒れ込んだ。
あぁ、でも、これはちょうどいい。
首に付けられた枷の制約は、主の命や財産を脅かさないこと。
命を脅かさなければ、反応はない。
要するに、嫌がらなければいいのだ。
さらに、口を塞いでしまえば命令を言うことも出来ない。
他の奴隷がそれをしないのは、主が目覚めた後の罰が恐ろしいからだ。
無防備に眠る少女にそっと近づく。
静かに数分待ち、呼吸が浅くなったのを確認してから頬を撫でてみる。思った通り、起きる気配はなかった。
わたしはあなたが思ってるほど、優しくないよ。
温かな手で背中の治療をしながらそう言った少女は、信頼していた奴隷に裏切られたときどんな罰を下すのだろう。
想像しようとしても、なぜだか上手く出来なかった。
その不快感を打ち消すべく、甘い声で主に呼び掛ける。
「ローズ」




