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薔薇と鷹の二年間(仮)  作者: 飴屋


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32/35

帰宅

お肉の入ったお弁当と魚の入ったお弁当、二つを買ってローズはレオンを連れて帰宅した。

最後の気力を振り絞って、ハーブティーを入れる。


まずは、この特製ブレンドのハーブティーの入れ方を覚えてもらお…。


特に助手に望むものはなかったが、これは大事なことだ。

朝、昼に続き、三度めのハーブティーを飲む。


「この毒消し…じゃなかった、ハーブティーを飲んだらちょっと休むね。好きな方のお弁当食べて」


湯気がたったハーブティーを一気飲みし、さらに二杯目を注ぐ。

その様子をレオンが見ていたので、のどが渇いたのかなと聞くと、首を横に振った。


「もしかして、朝からずっと具合が悪かった?」


レオンの問いにローズは頬をかきながらこたえた。


「…頭痛は治ったよ?」


朝、ハーブティーを飲んで、頭はすっきりしていた。


「頭は、ということは、他は…」


二杯目のハーブティーも一気に飲んだ。

体が暖まり、家にいるという安心感からかどっと疲れが押し寄せてきた。


「ちょっと、ここのところ忙しかったから…。

それで、ソファで寝たから体が少し痛かったかな? 」

「…あとは?」

「あとは…」


しどろもどろになりながら、今日感じた不調を思い出す。ごまかす気力すら、実はもうなかった。


あぁ、疲れた。

もう、ベッドで寝たい…。

でも、その前に今日こそはちゃんと寝間着に着替えなきゃ…。


大事な服をしわくちゃにしてしまった今朝の反省を生かすべく、ローズは上着を脱いだ。


「あとは…」


何の話しをしてたっけ。

今日の不調…。おかしかったこと。


ローズは考えながら、脱いだ上着を椅子の背もたれに掛けた。

次にシャツのボタンに手を掛け、二つ程外したところで気付く。


一人じゃなかった!


ついいつもの癖で服を着替えようとしたが、ちゃんと部屋で着替えなければ。今日から、同居人が出来たのだから。


同居人…。


ローズは同居人の顔を見て、やっとおかしかったことを思い出した。


「ちょっと、いい?」


ふらふらと、ローズはレオンに近付いた。

身長差があったのもちゃんと覚えているから、ソファに乗ってレオンと目線を合わせる。


「ん?」


しかしソファは思った以上に、台としては役に立たないようだ。

足が沈んで、上手く立てない。

結果、膝立ちになってしまう。これではソファに乗った意味がないと思ったが、その分、ローズの意図を察してくれたらしい優秀な助手が屈んでくれた。

薬の影響なのか体勢がどうも安定しないので、ローズはレオンの顔を両手で挟んだ。

顔を近付けて覗き込んだ瞳は、やはり紫色。


「レオンの目…、やっぱり、紫色に見える…」

「?」


そこで限界が来た。

ローズは、レオンから手を離しソファに寝転んだ。仰向けのまま、レオンを見上げる。


「この薬、目の神経がおかしくなるみたいで、今日、いろのみえかたがおかしかったみたい…」


市場で査定をしてもらったとき、あの青年はレオンの瞳の色を薄い水色だと言っていた。そこで、何かがおかしいと気付けたのだ。

それからローズは何度もレオンの目を見た。そして、やっと夕方に水色に見えた。


また、戻っちゃったけど…。


「色がね…、こう…すごく濃いって言うか鮮やかに見えるって言うか…。とにかくいつもと違って見えるの」


レオンとは薬を飲んだ後に出会ったため、自分一人では気付かなかった。その後に会ったのも初対面の人が続き、パルシェに会った時は傘に意識が向いていて、きちんと顔を見ていなかった。


「たぶん、パルシェさんも同じ症状だったんだと思う」


だから夜の暗いなか、あの傘がとても美しく見えて、マリサに贈り物をと考えたのだろう。


あれ、それじゃあやっぱり、酔いが覚めたら色褪せて見えるのだろうか?


考えようとしたけれど、上手く考えがまとまらない。


「…ごめん、もうだめ。寝るね。ハーブティーの入れ方はまた明日…」

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