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薔薇と鷹の二年間(仮)  作者: 飴屋


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31/35

「やっぱり、パルシェさんの家は明日行くね。今日は、もう家に帰ろう」


突然顔色が悪くなった助手のため、ローズは家に帰ることにした。


「夕ご飯、何か買って帰ろうか」


もう帰っても、ご飯を作る気力はないだろう。


どこかお店に立ち寄って、お弁当でも買って…。


ぼんやりと持ち帰りもしてくれるお店がどこにあったか、考える。


「レオンはなに食べたい? お肉系と魚系だと、どっちがいい?」

「…昨日の夜のことを思い出した?」

「ん?」


繋がらない会話にローズは振り返って、レオンを見た。


「気に入って買ったわけじゃない、とは?」


あぁ、そのことか。

ローズはずいぶんと前に感じる、朝の会話がよみがえる。


「思い出してはいないよ」

「じゃあ、なぜそんなことが分かる?」

「だって、レオンが教えてくれたから」


気に入って買ったわけじゃない。

この言葉は、レオンは嫌だったのだろう。遅れてローズは気づいた。


「私、突然貴方の前に立って『連れて帰る』って言ったんでしょ?」


きれいな金色の髪を見る。お風呂に入ったから今はきれいだけど、その前は埃でくすんでいた。


「あぁ」

「私そのとき、レオンの顔を見た? 多分、ちゃんとは見ていなかったと思うんだけど」

「…そう言えば、そうだった。なんだ、確かに元々気に入ってはいなかったわけか」


ローズは首を振った。

気に入る気に入らないの話ではないのだ。


「だから、そこはパルシェさんと同じに考えないで」


薬の影響で気分が高揚して、さらには、その間の記憶がない。なんとも厄介なものだ。


「私の弟はね、ちょっとやんちゃでよく怪我をしてたの」


だからローズは怪我の手当てがうまくなった。


「しかも、色々…壊したから、よく両親が怒ってね」


壊したものはたくさんあった。

家の食器や本は数えきれないくらいだ。それに壁、人の家のテーブル、ものではないがローズの婚約話。


「怒られてしょんぼりしている弟を探し出して、連れて帰るのが私の役目だったの」


暴れまわった後だから、髪はぼさぼさで埃をかぶっていることが多かった。


「因みに、弟は金髪」

「……君の弟は、牢にも?」


十代半ばの少年が牢に入れられることはなかなかない。ローズは否定した。


「それはギリギリなかったよ。でも、まぁ、入れられていても驚きはしないかも。薬のせいでちょっと思考がおかしかったら、なおさら」

「…」

「多分、お金を払ったのも、修理費かなにかだとでも思ったんだと思う。また、何か壊したのねって」


これで納得してくれただろうか。

ローズは言葉を重ねた。


「つまり、あなたを弟だと勘違いして買ったんだと思う」


そのときのローズとしては、問題を起こして軟禁状態だった弟を、両親に頼まれて見張っていた人に許可を得て連れ帰った、ぐらいの行動だったのだと思う。


「本当に…?」

「たぶん、としか言えないけど。それ以外に心当たりはないし」


知らない人を家に連れ帰ることなどローズはしない。

だとしたら、勘違いしたとしか思えないのだ。


「薬の影響で…」

「うん。それで、お肉と魚…」


少しずつ足に力が入らなくなってきていた。

昨日よりは飲む量は少なかったはずだが、二日続けて飲んだのがいけなかったようだ。





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