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コーヒー2
あぁ、失敗したな。
悲しそうな顔の主を見て思った。
どう見てもお人好しで、嫌になるほどの善人なのだから、そこにつけこめば良かったのだ。
今まで食事と言えば、朝晩二回だけだった。それも、粗末なものがほとんどで、水以外滅多に口にしなかった。
枷を付けられる前から大体はそんな生活だった。
そう真実を話して同情を買い、新しい主の素晴らしさを褒めて崇めれば、もっと簡単に落ちただろうに…。
思えば手当てのときもそうだった。
わざと嫌がって試す必要などなかったのだ。
ただ素直に感謝すれば良かった。
弱く健気な奴隷を演じることなど慣れていたはずなのに、どうも彼女の前だとうまくいかない。
今さら路線を変えても不自然だろう。
どうすればいいのか考えていると、彼女は言った。
「この後、持ってきてくれるコーヒー…。あなたは飲まないで」




