町案内
「ここがカルロスさんの食堂。毎週水曜日は買い出しの日だから、お休みなの。でも、午後には、仕込みでいるはず…。まだいないね」
ローズは町案内をしつつ、薬局と食料品で買い物を済ませた。
「この辺のお店は、食べ物屋さん以外は、夕方には閉まるかな」
まだ夕方ではないが、少しずつ店を片付け始めているところも多い。
「あっちをまっすぐ行くと、お酒を扱うお店が増えてくるよ。歌が上手な人がいてね…」
でもローズはその先は進まず、カルロス食堂を曲がり、裏路地の方をまっすぐ進んだ。
それは、今朝教えてもらったばかりの道だった。
ずっとローズの斜め後ろを付いてきていた助手の足がわずかに遅くなる。
「この先は、」
「レオン。荷物重たいでしょ。先に家に帰ってていいよ?」
この先にある市場は、レオンにとって辛い思いをしたところだ。朝に来たときだって、顔はこわばっていた。
「帰り道は分かるよね?」
「それで、君は一人で市場に何をしに行く気?」
あれ、と思った。ここもすんなり言うことを聞いてはくれないらしい。
「奥のお店までは行かないよ。ただ、この傘…」
パルシェから預かった傘だ。
辺りが少しずつ薄暗くなってきて、この傘の色が目立ってきた。
「やっぱり、パルシェさんの傘だと思うの」




