表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薔薇と鷹の二年間(仮)  作者: 飴屋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/35

9 続・市場にて

昨夜、ローズが来たらしい店の前。

悲しいことに、どう頑張ってもローズの記憶は甦ることはなく、案内されるままついてきたのだが。


「誰もいないみたい…?」


店内には人が誰もいなかった。

鉄格子の中は空、店主らしき人もいない。

それどころか、店内はがらんとしていた。

机や椅子、棚はあるが、そこにあったであろう本はなく、机の上には書き潰して使えなくなった羽ペンが転がっているだけ。

人の気配がまるでなかった。


「…確かに、俺がいたのはこの店です」


小さな声が少し震えていたのは、ローズの気のせいか。


「うん。本棚の上には埃があるけど、机の上に埃は溜まってないし、足跡もはっきり残ってる。つい最近まで使われていたのは確かだね」


誰もいなさそうなので、とローズは隣の店に向かった。

同じ作りのその店には、鉄格子の中に商品の姿はなく、店先で一人の男が新聞を読んでいた。


「こんにちは」

「おぅ。いらっしゃい。商品は、奥にいるんだ、今、連れてくるよ」


店主らしき人物が新聞を畳ながら立ち上がろうとするのを、慌てて止める。


「違うんです。隣のお店のことで訊きたいことがあって」

「隣?」

「はい。今日はお休みですか?」


ローズの質問に白髪が交じった顎髭を撫でながら、店主が答えた。


「いや、何でも、商品が良い値で売れたから店をやめるって言ってたぞ」

「店をやめる…」

「あぁ。奥さんと故郷に帰って、ずっとやりたかった喫茶店を始めるとかなんとか」

「喫茶店…」

「もう市場を閉める時間だってのに、店を片付け始めてな、店の備品とか売れ残った商品をうちを含めた近くの店に大盤振る舞いしたんだよ」


そう言って指差した先には、服やホウキなど雑貨類が無造作に置かれていた。


「あの浮かれようだと、もう家の方の片付けも終えて、田舎行きの馬車に乗ってたりしてな」


ははは、と笑って店主は不思議そうにローズの顔を見た。


「でも、何でこんなことが知りたいんだ? あいつに金でも貸してたのか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ