目次 次へ 1/35 プロローグ その人は私が迎えに来たと気が付いているのだろうに、いつもと同じようにうつむいていた。 櫛で髪を梳かすように何度も言っているのに、優しい金色の髪はボサボサのまま。 薄汚れて、隅っこで小さくなっている。 掛けるべき言葉は、お説教か、いや、それとも分かりきっていてもケンカの理由を訊くか…。 悩んでいてもしょうがない。 ため息を飲み込んでわたしは振り返り、後ろに控えていた人に声を掛けた。 「あの、彼を連れて帰ってもいいでしょうか?」