初恋卒業式
高校
卒業式
今日で私は、ここを卒業する
教師に渡されたコサージュを胸に付け
体育館で校長から卒業証書を受け取り
校長や在校生の卒業の言葉等を聴いて
時間がゆっくり、けど早く流れていく
もうそろそろ、卒業式が終わる
私はもう、高校生じゃなくなる
それに、彼にまだ言えてないこの胸の想いを……
少し前の席に座る彼の背を見る
少し猫背気味の彼の背を、見つめる……
卒業式が終わった
後輩たちが作る花道を歩く
花道を抜けると
友達同士で集まって記念写真を撮ったり
部活動をしていた人は、後輩たちに囲まれたり
モテモテだった男子は、たくさんの女の子に囲まれ
制服の第2ボタンは誰がもらうとかケンカになってたり
私も友達と集まって記念写真を撮ると
きょろきょろと辺りを見回す
彼の背中を探す
あ
彼の背を、見つけた
私は鼓動をあげながら、彼の背を追う
卒業する前に、彼に言えてなかったことを
言いたかったこの胸の想いを……言いたくて
彼は人混みを抜け、体育館の裏側に向かう
私は人混みを泳ぎながら、彼の背を追う
────……
彼の名を呼ぼうとした、時
彼は女子に、何かをあげていた
学ランのボタン……だ
────……
きゅっと
唇を閉じ
私は彼に背を向けた
「好きです」
彼に伝えたかった言葉を喉奥に飲み込み
私はその場を離れた
薄く零れる涙を啜りながら
この初恋とともに、学校を卒業する──