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第17話 約一ヵ月の同棲結果

総合評価110pt、ブックマーク30名ありがとうございます!

相変わらずの拙い話ですが、細々とやっていこうと思いますので少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!

「ふー、ようやく全部終わったな」


 中間考査が全て終わり、一真が疲れた表情をしている。

 どうやら何とかなったらしい。百瀬と一真はいつも平均点くらいだったと思うので、ようやく一安心なのだろう。


「湊、今回の出来はどうだったんだ?」

「結構いい感じだな。前よりは順位が上がると思う」

「という事は五位以内かもな、相変わらず凄いな」


 一真が感心半分、呆れ半分の目で湊を見てくる。

 別に順位に(こだわ)りは無いので、そんな目をされても反応に困るのだが。

 愛梨と集中して勉強した結果ではあるが、その代わりに一真達との勉強会に参加しなかったので、あまり褒められたものではないだろう。


「別に順位は気にして無い。それより本当に悪いな、一緒に勉強出来なくて」

「いいさ、当日にいきなりキャンセルされた訳でもないしな。どっちかというとお前が説明してくれない事の方が気になる」

「……体育祭終わりまで待ってくれないか?」

「そういえばもうそんな時期か」

「ああ、早いもんだ」


 湊が改めて謝ると一真は義母との件を引き出したものの、それ以上聞くつもりは無いと明るい笑顔をした。

 うちの高校は五月末の中間考査が終わってすぐに体育祭がある。本格的に暑くなる前にやってしまおうということらしい。

 一真はクラス委員をやっているので、各個人の種目決め等、大変になるだろう。

 

「分かった、体育祭が終わってからだな。約束だぞ?」

「ああ、必ず言う」


 一真がようやく事情を聞けると真剣な表情になった。湊が問題無いと言っていたものの、気にしてくれているようだ。

 約束した以上、それまでに愛梨に許可を取らなければいけない。事情を話すだけなら許してくれるだろうか。

 下手をしたら辛抱強く愛梨を説得しなければならないだろうな、と湊はひっそりと溜息を吐いた。

 



 


「百瀬さん達にですか?」

「大丈夫か?」

「事情を話すのは構いませんよ」


 帰ってすぐに言ってみたが、思ったよりすんなりと許可をくれた。

 愛梨の表情を見ても嫌なのを我慢しているようには見えない。

 これならもっと早く一真達に説明できたかもしれない。


「ありがとな。正直、もっと説明が必要かと思ってた」

「百瀬さんはクラスで見ていて、悪い人では無いと思ってますから。その彼氏さんなら大丈夫でしょう」

「一応百瀬は大丈夫な人なんだな」

「まあ、だからといって友達になるという話ではありませんがね」


 ふるふると首を横に振って、愛梨は関わるつもりは無い事をアピールする。

 どうやら愛梨の中で百瀬は良い人判定らしい。

 それでも関わろうとしないのは昔のトラブルが原因だろう。


「念の為聞いておきますけど、二人共信用できるんですよね?」

「もちろんだ。本気でヤバい事を言いふらすようなことはしない奴らだよ」


 愛梨が不安そうな表情で尋ねてきたので、しっかりと信用できる人達だと言った。

 昔からの付き合いだ、どういう性格かなんてお互いに分かりきっている。

 一真達は美男美女で一見軽そうだが、言いふらすような事はしないと湊は断言できる。

 湊の言葉を聞いて、愛梨が安堵の混じった微笑を浮かべた。


「九条先輩が言うなら問題ありませんね」

「……信用してくれてるんだな」

「一ヵ月以上一緒にいるんです、信用できる人だと分かっていますよ」


 不安になど思っていないというような綺麗な笑顔で答えられた、頬が熱くなるのを感じる。

 思ったより愛梨から信用されているようだ。家の事なんてほぼ何もしていないし、何もお礼もできていないのだが。

 そろそろ何かお礼をしないとマズい、彼女からもらいっ放しは駄目だろう。


「ただ……」


 急に愛梨の顔が曇った、何か二人に対して心配事だろうか。

 先程問題無いと信用してもらったばっかりなのだが。

 

「どうした?」

「事情を話したら百瀬さん学校で話しかけてきますよね、正直苦手なタイプなんです」

「ああ、そういう事か」


 愛梨は静かなタイプなのに対して、百瀬は元気なタイプだ。

 グイグイ来られるのが駄目なのだろう、百瀬は物怖じしないのでそこらへん遠慮が無い。


「一応百瀬なりに引き際は(わきま)えてるはずだ、不快に思うほど踏み込んでくることは無い」

「信用してるんですね」

「長い付き合いだからな」


 百瀬の性格を知ってもらおうと話すと、愛梨がほんのりと寂しそうな顔をした。

 まさかとは思うが、湊が彼女の事を信用してないと思っているのだろうか。


「言っておくがお前の事も信用してるからな。いつも助かってるよ、ありがとな」


 夜飯、風呂、掃除に洗濯までしてもらっているのだ、当然信用している。

 ただ、確かに信用や信頼という話はしていなかった。普段からそういう話をするのもおかしな事だとは思うが。

 感謝を伝えたら、愛梨は頬をほんのり赤く染めて目線をあちこちさまよわせ照れている。先程までの寂しそうな顔より余程良い。


「い、いきなり何を言い出すんですか」

「言っておこうと思ってな。それより百瀬には嫌だと思う事は言えよ? ちゃんと止めてくれるから」

「分かりました」


 許可はもらえたので、体育祭が終わって落ち着いたら二人に話すとしよう。

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