隔離される国。
ぼくの住む国は、【隔離】されている。
この国で、“疫病”が広がったからだ。
得体のしれない病気が充満した。
最初になった人は? 遠い国からこの国に戻ってきて
たった3日で亡くなった。
その人の仕事は、野生動物の密猟だった。
きっと、いろいろいる野生動物の中からその人は感染したのだろう。
初期症状は、“せき、熱、蕁麻疹”その後、呼吸困難になり
心臓停止、そのまま亡くなってしまう。
家族や本人がおかしいと思っている間に、症状があっという間
に悪化して死に至るのだ。
特に、若い男女や子供が感染しやすい。
最初の感染からたった1ヶ月で、政府はこの国を隔離した。
隔離されたこの国の人々は? 食べる物も生きる希望もなくなる。
既に、多くの人々がこの感染で亡くなっている。
何らかの理由で、感染しない人達もいる。
多くのお年寄りや数少ない若者。
政府は、そんなものもお構いなしで。
隔離したこの国を見捨てた。
ちゃんと、診てもらう病院も今のこの国で不可能になった。
医師もいない、治療する機材もない。
ここでは、誰も助けてくれる人がいない。
絶望と怒りが生きている人達の希望を無くしていた。
そんな時、現れた“救世主”は、、、?
【この感染を食い止めるワクチンを作った人。】
『皆さん! もう、大丈夫です! 僕はこの感染のワクチン
を作り、今日ココに持ってきました。皆でこの感染を食い止め
ましょう! 治して、この国をもう一度! 元に戻しましょう!』
『先生! お願いします!』
『俺から治してください!』
『私の娘から治して!』
『子供が、3歳の息子からお願いします!』
『大丈夫です! 皆さんの分は、すべてありますから! 順番に
並んで待っててくればそれでいいです。さあさあ、並んで!』
一人一人、先生はワクチン注射を打っていった。
『少し、チクッとするけど大丈夫だよ。』
『これで、直ぐに治ります!』
『もう、大丈夫ですよ!』
最後のひとりの老婆に、注射して終わった。
*
・・・そして、次の日。
感染していた人は、少しずつ完治していった。
先生が持ってきてくれたワクチンが効いているのだ。
感染した人達も数日で、完全に完治してこの国に活気も
出てくる。
健康になった人達は、畑を耕し魚を取り家畜をする。
鶏や牛、ヤギや豚も一から育てはじめた。
この先生は、ワクチンを作って持ってきただけじゃなく。
この国の隔離も取り外そうと考えて来てくれたのだ。
『この国を、皆で元に戻しましょう! 活気のあった元の国に!
皆さんなら、必ずできますよ! やってやりましょう! 政府の
言いなりでいいのですか? 一人一人勇気をもって立ち上がり
皆でこの国の為に! もう隔離されない、政府を見返しましょう!』
【おーう!】
・・・先生のおかげで、この国は元に戻っていった。
この国から、離れて行った人達もだんだんと戻ってくる。
政府も、この国の“隔離”を外す命令をした。
『良かったね! もうこの国は大丈夫だよ。』
『ありがとう、先生! でも、次は何処へ?』
『“僕を必要としてくれる人達の所へ”行くかな。』
『またね、先生!』
『あぁ、まただ!』
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