必殺技とおた男子
今回のシチュエーションは…
(必殺技っぽく告ったらどうなるんだろ…。)
もうシチュエーションではない。
もちろん必殺技はアニメや漫画では王道である。とくに異世界系アニメでは定番中の定番。みんながたまに1人になると叫ぶあれだ。誰かに見られたら恥ずか死ぬぐらいのあれだ。
筆者が言うのもなんだが
"やめておけ。恥ずか死んでも知らんぞ"
(でもな…やっぱり誰かに見られるのは恥ずいよな…。)
自分で考えときながら自分で言うな。
雅紀だってもちろんオタクなのだから恥ずか死ぬことはある。そんなことも理解してはいない雅紀はやはりやってしまうだろう…。読者のみなさんは雅紀が恥ずか死ぬところを暖かい目で見守って欲しい。筆者からのお願いだ。
(どう呼び出すかな…。今日な委員会の仕事で忙しいからな…。あ!手紙を書いてクラスのやつに渡してもらえばいいんだ。)
なんだろう。ものすごく嫌な予感がする。そう思ったが今日はこの方法しかないからと自分を自分で納得させ行動に移す。
朝、学校についてからメモ帳の紙を引きちぎって書き始めた。
〜放課後に体育倉庫裏に来て〜
シンプルすぎる内容だ。女子であればこの内容を見ればなんとなく察せる。これでもし失敗すれば明日からクラス…いや学年の笑いものだ。
メモを書き終えた途端に走って隣のクラスへ移動し、クラスの友人に話しかける。
「おい!」
「おー?なんだなんだ〜?何用だー?」
「これ梨花に渡しといてくれないか?」
「おー。他の方法思いついたのかー?てかまだ成功してなかったんだなぁ!あっはっはっはっ!」
学年の誰もが雅紀のシチュエーション大作戦のことを知っている。なぜ全員が知っているのか雅紀はまったくわかっていない。
「うっせぇなぁ…!」
「まっ、がんばれよ!おた男子!!」
そう言って雅紀の背中をバンバンと強く叩いた。
「いっでっ!!おまっ…!!」
はっはっはと笑いながら自分の席に戻っていく友人を見て不貞腐れた雅紀は少し早歩きで自分のクラスに戻って行った。
今日1日はずっと心臓がドクドクいっていた。授業はまったく集中できずに放課後を迎えた。
一足先に終学活が終わり誰にもバレないようこっそりと体育倉庫裏に向かった。もちろんまだ誰もいない。失敗したらどうしよう、アイツが来なかったらどうしようなど、心配は尽きない。
「ん…?」
何か紙が落ちているのを見つけた。紙の上には石が置いてありどう考えても人が仕掛けたものだと察した。その紙を拾い上げ中身を見てみると
〜へへっ!がんばれよ(笑)応援してるぜぇ!〜
(ったく…。あいつ…。)
雅紀の友人からの手紙だった。あいつでも応援してくれるものなのだなと思いくすっと笑った。
「何笑ってんの?雅紀?」
「ぬをぉ!?!?」
頭を上げて目の前を見てみるとそこには梨花がバックを持って立っていた。覗き込んだような姿勢をしている。
「そんな驚くこと?何で呼び出したの?もしかしてまだ続けてるの。あれ。」
からかったような口調で少し笑いながら言ってきた。ものすごくムカッとした。
「んだよ…。文句でもあんのかー??」
少し喧嘩を売った口調で言ってみたが反応は全く変わらない。
梨花は姿勢を直し、ふふっと笑った。
「ないよーないない。そういえば雅紀今日は1人じゃないんだね〜。」
1人じゃない…?どういうことだ、と疑問に思っていると
「ほら、後ろにお友達たくさんいるよ?」
その言葉に驚き後ろを振り返ると誰もいなかった。
もっと意味がわからなくなり梨花に問いかける。
「誰もいねーじゃねぇか。」
「ふふっ…あはははは!!まさか引っかかるなんて…ふふっ…!」
「うっせーなぁ…。」
そう、みなさんもわかっただろう。梨花は雅紀のことをからかったのだ。からかえるほどの仲なのだ。羨ましい…。
「で、早く要件言ってくれない?今日早く帰りたいのぉ!」
「んお?なんかあんのか?」
「…。まだ雅紀には言わない!!」
まだ言わないということは何か秘密にしている事があるのだろうと察した。探るようなことはしないことを決心し話し始める。
「お、そっか…。」
「んぉ。」
んぉ?なんだ?
「ん?どうした?」
「やっっばい!!早く帰らないと!!!」
「え…!?は!?ちょ…!!!」
止めようとした時はもう遅かった。バックをしっかり持って走り始めた。
「んじゃ!!」
「ちょ!!待て!!!」
一瞬で雅紀の前から消えてしまった。さすが身体能力抜群。梨花がクラスにいれば体育祭は必ず優勝だ。
「言っちまったか…。」
速すぎる…。この学校の中ではずば抜けて速い。また言いそびれてしまったと思った。いつになったら成功するのだろうと少し不安になってしまったがやはりこれしかないからとポジティブになる。きっと俺にもできるはずだ…。
できるといいね。
雅紀の戦いは続く