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第55話 衝撃、黒幕襲来

「黒銀!これは一体何のつもりだ!」


ノブナガを暗殺しようとした謎の男、もとい黒銀を悲しい表情で見つめながら、ノブナガは問う。

すると黒銀は目を瞑り、深々と顔を下げた。


『申し訳ございませんノブナガ殿、大変言いにくいのですが、時間がやってまいりました』


時間?一体何の事を言っているのだろうか。

しかしなんとなく、これからとんでもない事が起きると言うのだけは感じ取れる。

けど武器はリュウヤの所に置いてきた、どうする?


タクマがそう考えていると、黒銀はまた何処からかまた投げナイフを出現させ、それを立ち尽くすノブナガに向けて投げた。


「ノブナガ様っ!!」


タクマがそれに気付いた時には遅く、黒銀の投げたナイフはもう既に、ノブナガの心臓へと目掛けて飛んでいく。

しかし、それでもまだ諦めきれなかったのか、タクマの体が勝手に動いた。

サッ!と静かに音がし、その後すぐ手のひらに謎の激痛が走ってきた。

骨が折れた訳では無いようだが、何かジンジン、ジワジワと体を蝕むような痛みが走る。

何が起きたのか見てみると、なんとタクマの右手に投げナイフが刺さっており、しかも貫通していたのだ。

守りきれないと察していたからか、せめてやれる事を無意識にやっていたようだ。


「いっ……」


手からぽたりぽたりと垂れ落ちる血の音が、重く感じる。

だけど考えてみればまだ泣き叫ぶまでの痛みとはいかない、まだ我慢できる。

だが、それでもだんだん指の感覚が消えていく。

ちゃんと動いてはいるけど、それでも何故か動かしている感覚がない。

まるで自分ではない誰かの手を操っているみたいで気持ちが悪い。


「タクマ!大丈夫か!?」

「何とか……」


タクマは痛みに耐えながら答え、手のひらに刺さったナイフを抜き取る。

すると、黒銀はタクマがノブナガを守った行為を見て「愚かだな」と呟いた。


『いずれ死にゆく者の為に自らの身体を犠牲にするとは、人間とは実に愚かだな』

「何を黒銀、お主だって人間ではないか」


ノブナガは怒りで我を忘れないように、わざと黒銀の揚げ足を取る。

だがそれを聞いた瞬間、いきなり黒銀が倒れ、その後ろから骸骨兵士のような魔物が姿を現した。


『ならば、この姿で言えば良いのかな?』


黒をベースとした甲冑に、髭の代わりにタコの触手のようなものが付いた不気味な仮面、所々土で汚れた白骨。

骸骨兵士と同じ部類であるのは間違いないが、どこか今まで戦ってきた奴とは違う。

まさにRPGとかのボス、そんな感じの威圧感を感じる。

するとそこに、加勢しに来てくれたかのように、リュウヤ、ノエル、吾郎の3人が襖をバン!と大きな音が鳴るくらいの強さで開けて入ってきた。


「何ですか、これは一体……」

「やっぱり嫌な予感がすると思ったら!」

「タクマ殿、ノブナガ殿!」


リュウヤは、予め用意していた薬とタクマ達の武器を持ってタクマとノブナガの近くに行き、出来る限りの応急処置を施す。

ノエルは目の前で倒れている黒銀を抱え、そして吾郎は、その5人を守るように抜刀の構えで黒銀を睨みつける。


『それにしてもその男の嫉妬心は素晴らしいな、お陰で我も実体を取り戻せた』

「嫉妬心だと……?」


ノブナガは胸に刺さったままのナイフを素手で引っこ抜き、リュウヤの持っていた薬を患部に塗りながら言う。


『あぁ、彼は先代のコネだけで、君が国の長としてデカイ顔をしていたのが気に食わなかったのだよ』

『だからこそ彼は、我らがマスターであるα様と契約を交わしたのだ。代わりに魂を奪われるとも知らずにな』


そう言うと骸骨兵士は、ノエルをの顔面を力強く殴った。


「がっ!!」


まるで風に飛ばされた綿のように、ノエルは飛ばされ、豪華な襖に衝突する。

そして、骸骨兵士は一緒に飛ばされた黒銀の所へ瞬間移動し、自らの肋骨を刀に変形させ、それを刺した。


「あぁぁぁぁぁ!!」

「ノブナガ様……申し訳ございま……」


やっと目を覚ましたと思いきや、黒銀の体は黒い煙のような物となり、骸骨兵士の体内に入っていく。


「黒銀さん!」


リュウヤは消えた彼の名を叫ぶ。

だが、煙が消えたそこから現れたのは、ただの汚れ一つなく、一本の黒い刀が突き刺さった畳だけだった。

そう、完全に喰われてしまったのだ。


『これで我は完全体として蘇れる、フフフ、アーハッハッハッハ!!』


骸骨兵士は高らかに笑い声を上げると、まるで気でも狂ってしまったかのように、窓側の壁へと突撃して行った。

ドゴーン!と爆弾が爆発したような轟音が鳴り響く。


「あ、あやつは何処へ……」


咄嗟に身を伏せていたノブナガは、辺りを警戒しながら立ち上がる。

そして、飛び降りて行った所を見に行って見るも、やはりそこには何も居なかった。

それにここは最上階、もし飛び降りよう物なら、一番下では見るも無残な生物だったモノが散乱している。

しかしそんな事を思った矢先、目の前に巨人の手の骨と思わしき物が現れ、この部屋がある辺りをガッチリと掴んできた。


「タクマ!これを受け取ってくれ!!」

「リュウヤ!」


リュウヤはこれから何が起こるかを予測し、タクマに持ってきていた剣を投げ渡す。

だがその直後、屋根を破壊され、まるでノエル、ノブナガ、リュウヤ、吾郎の四人とタクマを引き離すように瓦礫が落ちてきた。


「リュウヤ!リュウヤ!!」


タクマはリュウヤ達の居る方へと、壁を叩きながら声をかける。

するとリュウヤ達の方から、「こっちは大丈夫でござるよ!」と吾郎が返事をした。

だがそうこうしているうち、なんと目の前に、甲冑を脱ぎ捨て、この城の最上階まで巨大化した、さっきの骸骨兵士が現れた。


『我が名は嫉妬のエンヴォス、この世全ての妬みを司りし罪源の仮面であり、記憶の魔術師だった者ぞ!』

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