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【最終章突入ッ!!】コピー使いの異世界探検記【28万PV突破!】  作者: 鍵宮ファング
第2章 不思議な僧侶と世紀末的砂けむり事件
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第40話 これにて一件落着

【ウォル 病院】


「ボス!!」

「無事でしたかっ!!」


救出したゴロツキ達が、病室で待っていたビーグのベッドに顔を伏せながら、ボスとの再会を喜んだ。

大の漢が泣くものじゃない、とは言っても彼らからしたら意味不明な機械のアジトで利用されたとなれば、安心して泣くのも理解できる。


「……顔上げて口閉じろ、ここは病院だぞ?」


いかついゴロツキだった面影すらないビーグは、活気を取り戻した目で部下を見つめながら言う。


「小僧、俺は助けてくれなんて頼んだ覚えはないが……?」

「頼まれようが頼まれまいが、俺は……なんて言ったら良いのかなぁ……」


タクマは、そこから先をどう言うか迷い、首に手をかけながら考える。

するとそこに、タクマの発言の続きを、ノエルが言った。


「俺は見捨てらない性格だ、ですか?」

「あぁ、なんて言うか、改めて言うと痛いな……」

「何言うておる、それがタクマらしくて良いではないか」

「だな……って、それ遠回しに俺の事痛い奴って言ってないか?」


目を細めながらわざと睨むタクマに、メアは顔を逸らして下手くそな口笛を吹いて誤魔化した。

それを見て、ビーグが笑う。


「悪い悪い、お前ら見てるとガキの頃のオレを見てる感じでつい、な」

「でもコイツだけは言っとく」


そう言って、ビーグは顔をしかめて口を開けた。


「そんなお人好しで甘い性格だと、いつか痛い目を見るぞ」

「痛い目……ですか?」

「ま、オッサンの戯言だから気にすんな。小僧は小僧の道を作れ」


そう言って、ビーグはタクマに拳を出した。

タクマは、その拳に自分の拳をぶつけて、一旦ギルドに向かった。


「さてと、俺たちもそろそろ足洗うか……」

「ボス……?」


ビーグは、自分のベッドに倒れ込みながら言った。


「もう懲り懲りだからな、こんな体験」

「ですね……んじゃ、これを持って解散ですかい?」

「馬鹿言うな、アレが終わるまでオレ達は一緒だぞ」


そう言いながら、ビーグは病室前の扉を指さした。

部下達が振り向くと、そこには怒りのオーラを浮かべ、満遍の笑みで今までのツケ代を書いた紙を持った、ギルド居酒屋のオーナーが立っていた。

それを見て、部下達はガタガタと震える。


「足もそうだが、まずは皿も洗えってよ」

「は、はい……」


部下達が震えながら返事をする中、ビーグは懐から葉巻を取り出し、それを吸いながら窓の外を見ていた。


「キング……確か数年前にそんな名を見たような……まぁいっか」


ビーグはそう呟きながら、煙を吹いた。

そして、ビーグの吹いた煙が、窓の外から飛んでくる、温泉の湯気と合わさるように飛んでいく。



【ウォル ギルド】


「ふぃ〜!さっぱりした〜!!」

「これでオニキスの奴も満足したっぽいし、これで安心して部下達に会えるね、兄さん」


兄弟は、二人仲良く飯屋の椅子でゆっくりと風呂上がりコーヒー牛乳を堪能していた。

そうして、タクマ達はくつろいでいる二人に声をかけて二人の居る席に座った。


「タクマ君、また一段とボロボロ日になって帰ってきたねぇ……」

「えへへ、ちょっと人助けに遺跡へ行ってまして」


タクマは照れくさそうに言いながら、頭の裏をかいた。


「そんで、お前らが行った遺跡には何があったんだ?」


ブレイクは、タクマ達の探検がどんなものだったのかを訊いた。

そして、タクマ達はそこであった事を、ロード兄弟に語った。


遺跡の下にあった近未来的なアジトの事、そこで戦った警備ロボの事、そして呆気なく自滅したボスの事。

その事を話すと、二人は笑った。


「やっぱお前らは面白れぇ!俺、お前らを弟子にして良かったわ!お前もそうだろ?メイジュ」

「うん、メアちゃんもノエルちゃんも、僕が見てきた中で1番の才能持ちだよ」

「これにて、俺から教える事はもう何もない、卒業だ!」


ブレイクは、酒を飲んでいないにも関わらず、顔を真っ赤にして笑いながら、タクマの背中を叩いた。

そして、その後にゆっくりと「だが、これで終わりじゃねぇ」と、三人に向けて言った。


「これで……終わりじゃない?」

「あぁ。強くなるってのは、ただ力を手にして終わりじゃねぇ。そんなのだったら誰でもできるし、ソイツらはその力に呑まれる」

「本当に“強い奴”ってのは、ココも強くなくちゃいけねぇ」


ブレイクは、そう言いながら自分の胸を叩いた。


「心という事じゃな?」

「そうだ、本当に強くなるには、心も強くなくちゃいけない」

「でも、その心は教えられるものじゃないんだ」

「つまり、この先は力だけじゃなく、心も鍛えろって事ですか?」


ノエルは、ブレイクに訊いた。

それに対し、ブレイクは高笑いした後に「大正解!」とノエルを褒めた。


「お前らならできるって信じてる、これからも頑張れよ!」

「滅多な事がない限り、アルゴの修練所に居るから、迷う事とかあったら遊びにおいで」


二人は、タクマたちに手を出し、握手をした。

タクマは、その手を本当に感謝する気持ちを込め、強めに握り返した。

そして、飯屋から出る時に、「ありがとうございました」と一礼し、タクマ達はその場を後にした。



【温泉 脱衣所】


「ようし、そんじゃあ最後の温泉入るか」

「最後……?ここを離れるんですか?」

「あぁ、元々俺達はこの玉を集めて魔王を倒す為に世界を回ってるんだ」


タクマはノエルにそう説明した後、鞄からオーブを取り出し、それを見せた。

いつ見ても不気味に光っているルビーとサファイアのようなアイテム、これがどう魔王と関係があるのかは分からない、本当にこの水晶玉みたいなのが、役に立ってくれるのだろうか……

そう考えていると、ノエルは何かを感じ、蒼のオーブに触れた。


「ノエル?何か分かるのか?」


タクマは声をかける。

しかし、オーブに手を当てて何かを調べている事に集中しているのか、聞こえていないようだ。

すると、その数秒後に、ノエルは「ヒッ!」と言いながら、目を丸くした。

今まで見たことのないような、何かに怯えていた顔、ノエルはそんな顔をしていた。

そして、その恐ろしいモノによるショックで、ノエルはその場に座り込む。


「大丈夫か?何が見えたんだ?」


タクマが訊くと、ノエルはゆっくりと何が見えたのか教えた。

「こ……ころしてやる……」と。


「殺してやる?どう言うことだ?」

「そのオーブが……殺してやるって言ったんです……」


その事を聞いて、タクマはそのオーブをもう一度見た。

しかし、それはただ妖しい光を微かに放つだけで、そんな禍々しいような気は放っていなかった。

けれども、その「殺してやる」は誰に向けた事なのだろうか。

俺?それとも魔王?若しくはタナカトス伝説のタナカトス、それか勇者あああああって人?

タクマはそれも気になり、訊こうとした。

だが、この恐れ様からして、もう一度調べさせるのは悪いと思い、訊くのをやめた。


「疲れてるんだろう、兎に角一っ風呂浴びてリフレッシュしようぜ」

「は……はい!」


ノエルは立ち上がり、服を脱ぎ始め、そして温泉で休んだのだった。

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