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【最終章突入ッ!!】コピー使いの異世界探検記【28万PV突破!】  作者: 鍵宮ファング
第2章 不思議な僧侶と世紀末的砂けむり事件
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第38話 終わらない悪夢の意味

警備ロボ達の中から現れたモヒカン男達が、一度落とした武器を持ってこちらに近づいて来る。

男たちの目は虚で、まだ操られているようだ。

だけど、洗脳装置らしきものが見当たらない。かろうじて服は着ているが、どこからどう見ても普通の服でしかない。


ただ、それよりも厄介な話が一つだけある。

それは、奴らがロボットでも人に危害を加える魔物でもない、ただ操られているだけの人間と言う事だ。

そのせいで手を出そうにも出せない。

「絶対に連れて帰る」と豪語した以上、尚更だ。


「どうするんですかタクマさん、相手は人ですよ?」

「どうするもこうするも、ここは何としてでも洗脳を解除するしか……」

「じゃが、こっちが攻撃しないように、どうやって奴らを止めるのじゃっ!?」


タクマ達は口々に言いながら、迫ってくるゴロツキから距離を取る。

そして、その間にタクマは考えた。


まだ水が残っている、もう一度ウォーターと《サンダー》を使った撃退法を使うか……?

いやしかし、この場合はあくまでも装甲が中身を守った。生身で使えば、とどのつまり彼らを殺すことになる。

だとすると……


タクマは、考えながらも目に入ったノエルの杖を見て閃いた。


「これだ!」


タクマは静かに呟いた。


「タクマ、何か解決策が出来たのか?」

「ここはひとまず、俺が閉じ込められた方に逃げよう、ノエルはまだ残っている水を《フリズ》で凍らせてくれ」

「成る程、床を凍らせて奴らを滑らせる作戦じゃな。タクマにしては考えたの」

「最後の一言余計だけども……まずはコレで行くぞっ!!」


そう言い、ノエルはすぐさま《フリズ》を足元の水に放ち、タクマ達は逃げた。

足元の水がだんだん凍り、1秒もしない間にスケートリンクかのように滑るようになった。

ゆっくりと迫ってくるゴロツキ達は、タクマの思った通り滑って転んでいる。


「何度頑張っても転ぶというのに、懲りな……ぶへっ!!」

「メアさん、大丈……ぎゃっ!」


しかし、それと同時にメアとノエルもコケてしまった。

ゴロツキ達もコケてはいるものの着々と近づいてきている。


「こうなったら……」


タクマはメアとノエルの手を掴み、二人をの手助けをしながら走った。


「タ、タクマ……?」

「小学時代に学んだスケート技術が、まさかこんなとこで生かせるとはな……」


タクマはそう言いながら滑り、何とかゴロツキ達から距離を取った。

しかし、足元の氷がなくなった事に気づかず、タクマだけ何もない場所でコケた。


「まーた、すぐ調子乗るんじゃから……」

「でもカッコよかったですよ、タクマさん」


今度はメアとノエルが手を差し伸べた。


「悪い悪い」


タクマは、二人の手を掴み立ち上がり、先に続く道という道を走った。

しかし、進みに進んでも、分かれ道すらない一方通行、扉も見当たらない。


「はぁ、はぁ……この先に……何かあるんですか……?」


ノエルは息を切らしながらタクマに訊ねる。


「でも操られてるってんなら、操ってる奴が居る筈だ」

「じゃが本当にこの道で合って……って、タクマ後ろぉぉぉ!!」


メアが後ろを振り向きながら驚く。

タクマが何が起きたのか振り向くと、そこには必死で追いかけてくるゴロツキ達が居た。

それを見て、タクマも目が飛び出そうなくらい驚く。

生気なんてものがない目をしながら、ごっつい武器を持って走ってくる。


二度、三度と、道を曲がる。

ってかこれ何回曲がるんだよっ!!

そうイライラしながらも、必死で曲がり角を曲がった。


「タクマ!あれ……」


するとメアが、また何かを見つけ、それをタクマに伝える。

そこには……


「「「扉だっ!!」」」


三人は声を揃えて、今走っている通路の扉を見る。

ゴロツキ達はまだ曲がり角の先に居るのか、姿は見えない。


「とりあえずはここに隠れよう!行けるか、ノエル!」

「えぇ、この辺からなら……」


ノエルはそう言って扉の前で立ち止まり、早めの深呼吸をした。

例えどんな壁だろうと岩だろうと、とりあえずのモノであればノエルの馬鹿力で何とかなってくれる。

タクマはそう信じた。


「どっせい!」


漢気のある掛け声と共に弾丸のような正拳突きが繰り出され、辺りに強めの風が吹く。

そして、突然の衝撃でバグった扉が、勝手に開いた。


「よし、入るぞ」



【謎の部屋】


『侵入者、排除スル!』『侵入者、排除スル!』


こちらに気付かず、ゴロツキ達は真っ直ぐ進んでいった。

まずは奴らを撒いた、タクマはその安心に浸りながら、レーザーで撃たれた足の傷に包帯を巻いた。


「はぁ、はぁ、もう動けません……」


ノエルは体力の限界で、その場に倒れ込んでしまう。


「それにしてもこの部屋、暗くてよく見えないな……」

「どこかに光源らしきものがあれば……きゃっ!」


闇雲に周りの壁を触って何があるか確認していたメアが、小さな悲鳴を上げながら倒れかけた。

そして、それと同時に部屋の明かりがついた。


「こんなとこに予備電があったか……って、これは!?」


タクマは、そこにあった物を見て驚いた。

そこにはなんと、蒼のオーブを眼としたトーテムポールのような機械があった。


「タクマ、アレって……」

「あぁ、オーブだな……」


タクマは、特に何もない事を確認し、剣で埋め込まれているオーブを取ろうとした。

するとその時、オーブからレーザーが放たれた。


「わっ!何だ一体!?」


間一髪でタクマは避け、そのトーテムポールらしき機械を見た。

すると、オーブが埋め込まれている所だけがタクマを睨んできた。


『下等な人間め、何故にここへ来た』

「うわ、喋った」

『低脳が、我は最強の頭脳を持つ者よ、貴様ら下等生物の扱う言語なぞ全て理解している』


傲慢な態度で、その機械はタクマ達に語りかける。

その傲慢な話し方に対し、メアは口を膨らませて怒っている。フグみたいで可愛い。

けど今はそんな事言っている場合じゃない。


「お主があのゴロツキを洗脳した元締か?」

『いかにも、我こそが天才科学者、Dr.Z様にオーブの力を源として作り上げられたメカ製造機、ブラウアイ・マザートーテムだ』


耳をつんざくような不快な機械音声が、そう名乗る。


「マザーだと……?」

「と言う事は、あのバカデカいゴーレムを作ったのもお主と……」

『あぁ、我とDr.Z様の自信作だ』


ブラウアイは自慢げに語る。

それを聞いたタクマは、オニキスが言っていた事の本当の意味を知った。


悪夢は終わらない。

それつまり、今回現れたゴーレムを倒しても、ブラウアイがまた開発して暴れ出すと言う事。


「なら仕方ない……ノエル、まだ行けるか?」

「えぇ、アレ壊したら故郷が平和になるって言うのに、ヘロヘロで休んでいられますか」


タクマが差し出した手を握り、ノエルは立ち上がる。

そして、三人は武器を取り出し、構えた。


『この神にも等しき頭脳を持つこの私に戦いを挑むか、よかろう』

「その偉そうな減らず口、妾達が縫い付けてやるぞ!」

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