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【最終章突入ッ!!】コピー使いの異世界探検記【28万PV突破!】  作者: 鍵宮ファング
第2章 不思議な僧侶と世紀末的砂けむり事件
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第16話 新たなる力

 今の季節は分からないが寝心地の良い日、タクマ達はウォル行きの馬車の中で昼寝をしていた。

 すると、誰かの声が聞こえてくる。


「おい起きろタクマ君、僕だよ。」

「うるさいなぁ、何すか?ウチに息子はおりません」


 タクマは目を擦りながら声の主の方を見る。


「やぁ、最初のオーブ獲得まずはおめでとう」


 その正体は、デルガンダルに来る前『コピー』を与えた神だった。

 何故彼が今ここに現れたのか、不思議に思いながらも、タクマは馬車内を見回した。

 辺りの時が止まっているのか、外の様子を覗いて見ると、空を飛んでいる鳥竜種のモンスターが飛んだ状態で留まっており、平原を駆け抜ける獣が、地面を蹴った状態で留まっていた。

 一体何が起きているのか、いまいち理解できないタクマが窓の外をまじまじと見ていると、彼は笑い出した。


「悪い悪い。実はこれ、今君と僕は脳派的電波で繋がっていて、僕の姿を見てこうやって話が出来るのは君だけだ。だが、流石に何もない所に話しかけるのを見られるのは恥ずかしいだろ?だから時は止めさせてもらったよ」


 確かに言われてみれば、某アニメのように自分にだけ見える何かに話しかけていたとしても、周りから見れば、一人でぶつぶつと何かを言う変な奴としてしか見えない。

 タクマが心の中で感謝していると、その神はタクマの心を読んだのか「ありがとう」と言った。

 それを見てタクマが「彼の前で邪な考えは厳禁だ」と思っていると、神は鞄にしまっていたはずのオーブをポケットから取り出した。


「この輝き、何だか懐かしく感じるけど何だったっけなぁ……」

「それいつの間に、ってかそんな事出来るならオーブ……」


 タクマがある事を話そうとした時、彼はタクマの肩に手を乗せて首を横に振った。

 この事については禁句のようである。


「おっといけない、君にお知らせがあったんだ。」


 神はオーブをタクマに返し、一発咳払いをした。

 タクマは「絶対悪い知らせ」を話すだろうとドキドキし、固唾を呑んだ。

 すると神は急に指をパチパチ鳴らし始めた。

 側から見れば完全にノリノリのパリピ君にしか見えないが、この中にヒントがあるのだろうと考えてタクマはそれを真剣な目で見つめる。

 しかし、見ていても何も分からない。そう思った時、神はため息を吐いた。


「君のコピー、唱えなくてもこうやって指さえ鳴らせばコピー出来るようにしてあげんだよ」


 そして、小声で彼は「鈍感だなぁ……」と言う。


「じゃ、僕のやる事は終わったし、ドロンするとしよう」


 そう言った瞬間、周りが動き出した。

 タクマが驚き、彼が居た方に顔を向けた時にはもう彼は居なかった。

 指鳴らすだけでコピー出来る、タクマは実感は湧かないものの指を見ながらまた眠りについた。


 

 一方その頃、α一味のアジトと思わしき暗い場所。

 Zとαはその暗い部屋でチェスのようなゲームをしていた。


『そう言えば、知っているかい?』

「何をでス?」

『この男のウワサを』


 αは会話をしながら駒を動かし、とあるお尋ね者の紙を出した。

 Zはその紙をまじまじと見ながら、駒を動かす。


「彼ですカ、風の噂で聞きましタ。最近、各国の力自慢を倒しては消える、神出鬼没の男オニキス。彼がどうかしたのですカ?」


 Zは訊ねながら、次のターンが回ったため駒を動かす。


『奴は自らを『死神』と呼称しているらしい。がしかし、自称ではなくも虚言でもなく、実際に被害に遭った者の証言もある』


 αもそれに答えながら駒を動かしていく。


「つまり、彼は本当に最強。そして、彼を利用して力の研究をするのはどうだ……って訳ですネ?」


 そんな話をしている間に、ゲームはもう中盤に入っていた。


『話が早いな。それに、彼ならばオーブの力を引き出せると私は目を付けている。あの虎では力不足だったから』


 αはそう言いながら、Zのナイトを駒で蹴り倒した。

 Zはその倒れたナイトを、ティグノウスの事を言っていると感じ取りあの日の事を思い出した。



 *数日前 マリジハの小さな森の中

 ────グルルルル……

 ティグノウスは、タクマの攻撃によって酷く傷付き、生死の境目を彷徨っていた。

 それと同時にティグノウスは、自分をここまで追い詰められた事、しかも、よりによって子供に殺されかけた事に怒りを感じていた。


「ほぉ、フレアの石炭型魔法石を飲ませて強化したティグノウスが、こんなにボロボロになって帰ってくるとはネ」


 アルゴ王に化けたZは、やられて帰って来たティグノウスを煽りつつ、その森に現れた。

 そして、この言葉に対して更に腹が立ったティグノウスはZに襲い掛かった。

 しかしZはその攻撃を避け、白衣に入った血付きのメスを振り回した。


「その怒りよう、α様も君に与えろと言う筈だ」


 ティグノウスがもう一度攻撃する為に、180度回転した時だった。

 ティグノウスは自分の片目が無くなっていた事に気が付いたそあの時のメスで目玉をくり抜かれていたのだ。

 そして、それに気付いた事により、凄い激痛がティグノウスを襲う。

 ティグノウスは野田打ち回る。そろそろ自分が死ぬと分かっていながら野田打ち回る。

 それを見てZは気味の悪い笑い声を上げながらその瞬間を見届けていた。


「よろしぃ!アナタに最後のチャンスを与えてあげましょウ!」



 そして、話は戻ってαのアジト。

「確かに、知性の無い動物よりは、アンノウンな人間の方が使えますネ……」

『だが、アンノンだからこそ研究するには気をつけろ』


 そう言って、αはZの、持つキングの駒を指した。

 Zがそれを見ると、そのキングは完全に囲まれてしまっていた。


『アンノウンだからこそ、何が起こるか分からない。チェックメイト……に、ならないように気をつけるのだよ?』


 αの言葉を聞いて、Zは笑った。


「ハッハッハ!お言葉ですがα様、科学というのは、何が起こるか分からないから面白いのでス」

『それもそうだな。まあ、無事を祈るよ』


 そしてZはチェスの負けを認めて席を立つ。


『待てZ、君にプレゼントがある』


 αはZを呼び止め、テーブルの下から一本のワイン瓶を取り出した。

 しかも、500年モノの超高級ワインである。


「こ、こんなに高価なモノを貰って良いのですカ……?」


 Zはそれを見て驚いた。何せこんなにも高価なワインを急に渡されたからである。

 Zは少々遠慮がちだったが、αは頷いていた。


『君が、あそこの地下研究所で何をやっているのかは分からないし詮索する気はないが、偶にはこんな最高のワインを独り占めして息抜きするのも良いだろう』


 αは、陰で頑張っているZを応援するかのように声を掛けた。


『それに、私はワインがあまり好きではないからね』

 

 αは、付け足すようにそう言った。それを聞いて、Zはそのワインを受け取る。


「では有り難く頂きます。それはそうと、キョーハイに置いたアレは今どうなっております?」


 Zはお礼を言うついでに“アレ”について訊いた。

 するとαは、腕に取り付けられたタッチパネルのような物を操作し、馬車の中で呑気に寝ているタクマ達の映像を出した。


『アレはまだ身体を形成している途中だが、彼らが気付くまでには完成するだろうから安心したまえ』


 それを聞いて安心したZは、αに一礼して消えていった。

 そしてαはその映像を見続けていた。


『さて、君ならどうする?タクマ君』

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