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第134話 蜂の刺客はマジヤバイ

【ダリア平原 馬車】

「ほぉ、マイ馬車持ちとは珍しい!それに調理舎まで完備されているとはぁ!」

「見てて楽しいか?ただの調理場だぜ?」

「それがいいんですよぉ!こんなピカピカ輝いている調理場なんて見た事がなぁい!宝石とか使ってるんですかぁ!」


 馬車に入れて早々、フラッシュは自分が正義の味方(仮)である事を忘れ、初めて見るキラキラの調理舎を見てはしゃいでいた。

 流石にはしゃぎすぎて馬鹿をやられると困る為、リュウヤはフラッシュの世話係をやっている。他の女の子にやらせると危険な事になりかねないから……


「ごめんなさい。ウチの脳筋が」

「あのおっさん、本当に近衛兵なのか?ただの変態やろ」


 このパーティに入って早々のナノに早速嫌われるとは、ある意味最強の男だ。フラッシュ。

 ただ、いつまでもあの変態に付き合ってもいられない。タクマとナノは、自分のギルドカードを見せた。

 ナノの適正武器は「槌、短剣」魔法は「地面、風、無」。ここを出る前に作ってきたが、やっぱりちゃんと適正武器と魔法が書かれている。改めて自分のカードがおかしい事を教えられる。


「俺はタクマ。そんで隣の猫娘が……」

「ノエちん、でしょ?」

「は、はい。いや〜、アイドルになったから知名度ガン上げですね!ちょーヤバいって感じです!」


 チェイpもとい、ドン・チェイス監修だったからか、ノエルは清楚ギャルのような口調で自慢する。

 しかし、リオはその自尊心高めの発言に対し「皆トーナメント出場してたじゃない。それにあんなデカデカとしたライブ。忘れようにも忘れられないわよ」と、マジレス気味で返した。


「と、とにかく。その恋の魔術師に会えると言う合言葉を教えて欲しい」

「いいわ。その合言葉って言うのはね……」


 リオはタクマ達に合言葉を話そうとした。しかしその時、大地が揺れ出した。

 更に、危険薬物で溶かされた草の臭いがしてくる。


「て、敵襲でありんすか!?」

「こんな時に!?タイミングの悪い奴らよ」


【ダリア平原】


「これだよねぇ、ピアちゃん!」

「馬が勝手に馬車を引いてってるし、2両編成。間違いない、コレがアルルお姉ちゃんの言ってた奴だって。フォルテちゃん」


 蜂のような縞模様の服を着た2人のギャル娘は、周りを酸のようなもので溶かされて怯える馬を見て笑う。

 すると、その馬車から現れるタクマ達を見て、ピアと呼ばれた少女は「あ、アレ」と指を差す。


「お主ら、何者じゃ!」

「アレって、虫人じゃないですか?それもスズメバチ族の……」

「ムシビト?ただ蜂のコスプレした2000年代のギャルだろ。どう見ても」


 リュウヤは刀を構えながら、2人の虫人を見て言う。

 確かに、蜂のような縞模様の服を着ているが、よく見ると何処かの女子校のブレザー制服のようなデザインをしている。更に、ドリルとか、ユニコーンとか、とにかく尖ったような盛り盛り、クルクルの髪型。そして極め付けのルーズソックス。

 どこからどう見ても、ただのギャルだ。一つ彼女達を見分けられる違いを挙げるのであれば、ピアは赤いドリル髪。フォルテは青のクルクル髪。ぱっと見鬼かと思う。


「アタシらは、この辺でアルルちゃんの求めてる男を誘拐する為にやってきた、スズメバチ族のピアと」

「フォルテだょ!」


 2人は、ガラケーで写真を撮るかのように決めポーズを取った。多分彼女達がガラケーを持っていれば、「マジヤバ!」とかデカデカと描かれたプリクラを量産している事だろう。

 

「……いや、普通誘拐するのにデカデカと「誘拐」とか言わないでありんしょう」

「そうよ。それに、ウチの馬鹿はいらないから、好きなだけ持ってきなさい」


 そう言うと、リオはグルグルに縛ったフラッシュを2人の前に差し出した。


「ちょ、リオリオ……確かにこのおっさん嫌いやけど……」

「やりすぎですよぉ!お嬢様ぁ!」

「いや、それはマジでいらない。ない寄りのなし」

「ふぐぅ!」

「顔わかんないし、変な仮面だし、いらなーい」

「あびびぃ!」


 蜂娘も、生贄に捧げられたフラッシュを、人間以下の存在を見るような目で鋭い槍のような言葉を刺した。

 するとフラッシュは、縄を弾き飛ばし、草むらをグルグルとのたうち回り出した。


「と、とにかく。誰を狙っているのかは分からないが、やるしかないようでござる」

「そうみたいだね、吾郎爺」


 相手は誘拐する為なら手段は選ばない筈。言っちゃ悪いが、彼女達が戦わずに誘拐する作戦を思いつくような人には思えない。

 そう思っていると案の定、ピアとフォルテは、蜂のような槍と大きめのナイフを手に、タクマ達目掛けて襲ってきた。護衛的な事をする筈のリオ諸共。

 

「へへん。おいおい嬢ちゃん、包丁ってのはちゃーんと猫の手で使わねぇと、ケバいネイルごと指が切れちゃうぜ?」

「へぇ、ちょーヤバい反応速度じゃん!もしかして、アンタがタクマ?」

「何を言うておる!そやつはリュウヤじゃ!もう奥さん居るから求婚しても無駄じゃぞ〜」


 メアは、ナイフで攻撃してくるフォルテを煽るように言う。するとフォルテは、「マジないわ〜。サゲぽよ〜」と言い、ピアが戦っているタクマの方に行こうとする。

 しかし、目にも留まらぬ速さで動いた筈が、行く手をおタツに阻まれる。


「ここからはウチらのフィールド。タクマさんの所へは行かしんせん」

「ウチも加勢するで。タっくんは絶対に渡さへん!」


 その頃、タクマの方も、ピアと武器を交えていた。


「キャハハ!なかなかやるじゃん!やっぱり誘拐はこうでなくっちゃ!」

「俺を誘拐したいのはよく分かったけど、俺を連れてって何する気なんだ!」


 タクマは、必死でピアの槍を剣で弾き、訳を訊く。するとピアは、クスクスと笑った後「食べる」と返した。

 その返答に、一瞬タクマは黙る。ん?食べる?それつまり……いやそのまんまだ。あの目を見ればわかる。A5ランク霜降りでも見るかのような目。言わずもがなだ。


「そんな事させるもんですか!それに、あんなの食べたらお腹壊しますよ」

「あんなのって。けど、確かに人肉は美味しくないわ」

「いやアンタ食った事あんの!?」

「ないに決まってるでしょ。アンタ馬鹿?」


 大袈裟なツッコミに、リオは涼しい声で答える。しかも美味しくないとまでノエルに言われる始末。確かに食べられるのは嫌だが、美味しくないと言われるとそれはそれで傷つく。


「若造の肉はまだまだ未熟。前菜に、拙者の老い肉はいかがでござる?」

「うっ!そんな紙みたいに薄っぺらい剣でアタシの槍を弾いた!?」

「4対1ではあるけど、メルサバ行く為に邪魔だから。ちゃっちゃと決めるわよ」


 リオはタクマを押し除け、ピア討伐チームのリーダーのように指揮を取る。他の3人は、それに乗り「アイアイサー」と返し、ピアへの攻撃を開始した。

 そうして、タクマ、ノエル、吾郎、リオの4人はピアを。メア、リュウヤ、おタツ、ナノの4人は、フォルテの相手をする事となった。

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