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第133話 かつての再会は突然に

「リオ・アラン。メルサバ国の王女。よろしく」

「とまぁ、彼女こそが、妾の親戚って奴じゃ!」

「ん?フローラ要素どこ?」


 まだピンと来ないリュウヤは、首を傾げてリオに訊ねる。するとリオは「仮名よ。私が出場したら、パパがうるさくて色々面倒なの」と返答した。

 所々冷徹な喋り方ではあるが、タクマはまず、何故オーブを返せと言う話に至ったのか訊こうとした。

 するとその時、カフェの向かい側にある服屋の方から、ハーハッハ!と、昭和ヒーローみたいな笑い声が聞こえてきた。


「な、何奴!」

「探しましたぞリオお嬢様!まさか貴方も大会に参加していたとはぁ!」

「うるさい、筋肉」


 リオは、どこか懐かしい顔文字の書かれた仮面で顔を隠すマッチョマンの腹に、重たい蹴りを加えた。

 あまりの痛み、それと気持ちよさからか、覆面マッチョマンはいやらしくはぁはぁと息を漏らした。あまり言いたくはないが、7人全員「きもっ」と心の中で思う。

 すると、その男は「あぁ!若草色の服を着た美しい女性!おタツ様に蔑まれるとはぁ!私は、幸せだぁっ!!」と、また騒ぎ出した。


「ごめん。コレはメルサバ近衛兵のフラッシュ。うるさいから今黙らせるね」


 そう言うとリオは、ナノが背負っていたハンマーを借り、ビクビクと伏して悶えるフラッシュの頭上で大きく振りかぶった。

 流石にこんなカフェのど真ん中でやられると困る。いや、それ以上に殺しかねない。そのため、タクマはコーヒーを一気飲みしてから、荷物を片付けた。


「本当にすみません。すぐ撤収するんで」

「ご迷惑おかけして申し訳ございなんし」

「ささ、リオさん。場所変えましょ」


 メアはリオを、リュウヤとタクマは、フラッシュを引きずりながら、静かな街の外へと出ていった。


【アコンダリアギルド 集会所】

「いや〜お騒がせしてすみませんっ!」

「相変わらずうるさいおっちゃんやな。じぃじ、ウチアイツ嫌いや」


 ナノは、フラッシュに対して露骨な嫌な顔を見せ、隠れるようにして吾郎の隣に座った。そしてまた、嫌われた事に喜ぶと察したリオは、目に見えない速さで制裁を加えた。

 目を押さえている点と、人差し指と中指を念入りに拭いている所からして、目潰しをしたらしい。


「にしても、どうしてメルサバの大切なオーブが、あんなドデカい大会の賞品になるんだ?」

「嘘よ」


 まさかの答えに、振り回されたと知ったタクマ達はぐはぁ!とずっこける。するとその時、リオはフフッと笑った。その時だけ、どこか無邪気な、感情豊かな顔をしていた。


「う、嘘っぱちでありんすか……」

「オーブを大事にしてるのは、バカみたいに大金叩いて見せびらかすように買ったヴァルガンナの所だけ。その他は全部、80年前の大戦争によって消し飛んで行方不明だったの」


 話し終えると、リオはぐぐっと背中を伸ばし、「ま、見つけても、ただのデカイ宝石程度にしか思わないわよ。今の人間は」と付け足して横になってしまった。

 

「で、アンタらはさ、何でそんなのを一生懸命集めてるワケさ」

「妾達は魔王を倒す為に、オーブを集めておるのじゃ」


 メアは、あまりの寛ぎ様になんとも言えない6人の代わりに、事の事情、そして罪源の仮面・エンヴォスの話をした。


「……とまあ、そんな話なのじゃ」

「成る程、オーブの中には罪源の何たらが居て、貴方達はそれを解放しながら魔王討伐の旅を続けている、と」


 そう聞いた後、リオはフフフッと笑いを堪えた。信じるどころか、おとぎ話紛いの話を馬鹿にしているようだ。


「うーむ。見たことも聞いたこともない話ですなぁ!特にエンヴォスなんて、2000年前のタナカトス伝説で、呆気なくタナカトスにやられた魔術師じゃないですかぁ!」

「ま、流石に証拠の品があるって訳でもねぇし、言葉だけじゃ信じねぇよなぁ」


 リュウヤは諦めたような口調で座席にもたれかかり、手を頭の後ろで組んだ。

 

「それで、もし何か知っていれば、教えて欲しいんだけど、オーブと言うか、こんな感じの玉知らない?」


 微かにあるかもしれない希望を信じたタクマは、これまでに獲得した、赤、蒼、紫、黄色のオーブを見せた。すると、その四つのオーブを見て、リオは「おお」と驚く。


「何故君みたいな冴えない少年が、行方不明だったとされる紫と蒼のオーブを?」

「成り行きで運良くゲットできたものです。コレが大和、そんでコレが、キョーハイ砂漠の遺跡で発見しました」

「それで、この紫色の玉からエンヴォスって言う大きなスケルトンが出てきたんやろ?一度見てみたいなぁ」


 タクマは、目を輝かせてウズウズしているナノの頭を撫でながら「俺たちは流石にもう見たくないかなぁ」と冗談混じりで言った。

 すると、その話を最後まで聞いていたフラッシュが、「そういえば!」と何かを思い出して立ち上がった。


「最近メルサバで、恋の魔術師と名乗る謎の占い師が居るとの噂がありましたなぁ!」

「そ、それは本当でありんすか!?」

「何でも、見た目は一般市民と同じだから見分けがつかないが、ある合言葉を唱えると、ピンク色の水晶で占ってくれて、恋が叶うとされているらしい」

「恋が叶うねぇ。そらまた、ファンシー国家にお似合いの素晴らしい噂じゃあねぇか」


 その話を聞き、タクマは頷いた。ピンクの水晶玉、言われてみれば、これまで獲得したオーブも水晶玉に似ている。だとすれば、もし噂が本当なら、それは桃色のオーブと言う事になる。

 

「それでタクマ殿、どうするのでござる?」

「そりゃあ、行くっきゃないっしょ!」

「わーい!ケーキケーキ!」

「フフッ、良かったですね、ナノちゃん」

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