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第121話 奇襲!ドラゴンを屠りし侍

「はぁっ!《味の開き》!」

「爆散手裏剣!」


 リュウヤとおタツは、互いに攻撃を繰り出し、立ち尽くすドラゴンにダメージを与える。しかし、ドラゴンもそれに負けじと、雷を纏った爪や尻尾、雷のブレスを放った。

 その雷は、メアの放つメガ・ドゥンケルの力で捻じ伏せる。


「こやつ、なかなか手強いでありんす」

「全然効かねぇ。メアちゃん、どの辺が弱点か分かる?」


 刀で爪を防ぎながら、リュウヤは効いた。メアは、尻尾などに向けて投げナイフを放ちつつ、「奴の額じゃ!」と答えた。


「額か。よしタツ、行けるか?」

「えぇ、任せておくんなし」


 リュウヤはドラゴンの前で膝をつき、おタツが飛び上がるための踏み台となった。

 おタツはそれを了承し、リュウヤが組んだ手を踏み、周りよりも少し高い時計塔の上に乗った。そして、そこからまた更に飛び上がり、ドラゴンの額に向かって飛び込む。

 しかし、おタツがそこで攻撃を加えようとしたその時、ドラゴンが飛び上がった。


「うわわ、お前様ぁぁぁ!!」

「おタツ!テメェ、人の女を何処に連れて行きやがる!」

「ちょ、リュウヤ、何をする気じゃ!」

「何って、とんでもねぇ無茶に決まってんだろ!」


 そう叫ぶと、リュウヤは近くに落ちていた木箱の山を登り、ドラゴンと同じ高さくらいの民家の上に飛び乗った。そしてそこから飛び上がり、ドラゴンの尻尾にしがみついた。


「もーあの夫婦馬鹿!仕方ない、妾は奴を呼ぶ!」


 全く男と言うのは!メアはそう思いつつも、吾郎が居るであろう病室へと向かった。

 ……それと同時刻、まだババの押し付け合いをしている会長室。

 

「何でさっきからお前らババしか引かぬのだ!そろそろ終盤と言うのに何故だ!このままじゃアイツが勝つかもしれないのだぞ!」

 

 負ける事に焦りを感じ始めたチェイスは、部下の黒服に当たる。黒服は、口元でも分かる通り「俺たちに言われても」と言わんばかりに頬を引き攣らせる。

 その様子を見て、タクマはご愁傷様です。と思いつつ、カードを引こうとした。あと一枚、ここで当たりを引かなければ負けるかもしれない。流石にもうババの押し付け合いはこれで7周目だ。運が悪いのかいいのか分からない。

 決めるんだ。絶対に。ノエルを渡さない為にも、オーブを集める為にも。そして、ナノちゃんとの約束を果たす為にも。臭いかもしれないけど、そろそろこの一枚に賭けないといけない気がする。


「早くしろ小僧」

「分かってますって」


 黒服に急かされ、タクマの判断力が少し欠落する。とその時、どこからともなく龍の鳴き声が響いてきた。

 しかも、それはだんだんと此方に近付いてくる。


「仕方ない!どぉぉぉぉぉ……」

「危なーい!!」

「「「「「へ?」」」」」


 引く覚悟を決め、いざ参らんとしていたその時、会長室付近に運悪くドラゴンと、それに乗ったおタツとリュウヤが墜落してきた。

 会長室に居たノエル含む5人は、その不思議な事に頭が追いつかず、その場で腰をつき、ぽかーんとする。

 しかし、タクマだけはすぐに我を取り戻し、引いたカードの結果を見た。


「エースと……エース!」


 そう、一抜け。勝利したのだ。


「やりましたねタクマさん!」

「あぁ、ババ抜きでこんな喜ぶの初めてだ!」

「何だか分からねぇけど、悪いが手伝ってくれ」

「はいよ。ノエちん、そこのどさくさに紛れてバックれようとしてるオッサンとっ捕まえといて」


 タクマはスタイリッシュに剣を抜き、ノエルに伝えた。するとノエルは、それに了解と言うまでもなく、まるで瞬間移動したかのような速さでチェイスに近付き、ガチギレモードでよく使う絞め技で動きを封じていた。

 そこから更に、硬い縄で縛りつけた。


「リュウヤ!助っ人を連れてきたのじゃ!」

「これは……メア殿、拙者も助太刀いたす!」


 メアと吾郎もドラゴンの騒ぎに駆けつけてきてくれた。これで全員集合。タクマは「行くぜぇ!」と叫び、暴れるドラゴンへの反撃を始めた。

 タクマはドラゴンの放つ《サンダー》をコピーし、リュウヤと吾郎は自己流の剣技で硬い鱗などを中心に攻撃を加える。

 メアとノエルは、鱗の剥がれた部分に魔法を放ち、おタツはその身のこなしで、ドラゴンの額に攻撃を加えた。


「〈天照・陽炎の太刀〉!」

「行くぜ、タツ!」

「はい、お前様」

「「〈双星乱舞・景清の舞〉」」


 リュウヤ達は、口を開こうとしたドラゴンの牙に向け、必殺技を繰り出す。そこへ更に、タクマ達もコピーしたサンダーを筆頭に、フリズやメガ・ドゥンケルを使って強力攻撃を加えた。

 

「〈王手〉!」


 そして、吾郎がそう唱えた瞬間、ドラゴンの息の根が止まった。

 ただ、普通に死んだ訳ではなかった。なんと、吾郎が陽炎の太刀でバラバラにした爪の一部が、急に光を放ち出し、ガントレットのような装備品に変化したのだ。


「何だコレ。ド○クエで言う所の敵ドロップとかそんなのか?」

「お前様、それは流石にまずいでありんす」

「タクマ、使うか?」


 リュウヤは、拾い上げたガントレットをタクマに差し出す。だが、タクマはそれを受け取ろうとはしなかった。流石に強くなれるとはいえ、龍の爪が急に変化したものと言うのには躊躇いがある。

 それを察したリュウヤは、「貰っとくぜ」と、そのガントレットを装着した。


「これはなかなか。お似合いでござる」

「えへっ、そうかぁ?褒めても何も出ねぇぞ?」


 そう冗談混じりに言っていたその時、リュウヤはある事に気付いた。ガントレットの手の甲の中心に、黄色の宝玉らしきものが付いている事に。


「これって……」

「さーてと、じゃあそろそろ吐いてもらいましょうか。私達挑戦者を使って、何をしたかったのかを」


 可愛いセーラー服姿のノエルは、男らしく指の骨をバキバキと鳴らし、捕らえられたチェイスに近付いていく。

 更にメアも乗っかり、「出来レースだかカーレーサーだか知らぬが、教えてもらうのじゃ」と、両者とも目の当たりに影を作り、眼を赤く光らせて近づいてきた。


「ひぃっ。お助け……」

「のぅタクマ殿、これは一体?」

「あぁ、俺が賭けに勝ったから、こんなんになってんの」

「適当でありんすけど、これ止めなくていいでありんすか?」

「いや、アレはまぁ仕方ないだろ。ノエちんには色々キツイ仕事させちゃったし、鬱憤溜まってんじゃね?」


 リュウヤは、気楽に頭の後ろで手を組み、皆はメアとノエルにボコボコにされるチェイスの様子を傍観した。

 するとその時、半壊した会長室に、騒ぎを聞きつけた誰かが入ってきた。


「パパ上!」

「ら、ラウム!助けてくれ!」

「ぱ、パパ上?あぁ、お父さん。えぇぇぇぇぇぇぇ!!?!!?!?」


 まさかの真実に、タクマ達は声を上げて驚いた。

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