転生少女、と、あきさんと。
「あは。こちらはねこねこにゃおんさんなんですねー。わたしの所はねこねこまろんっていうんですよ」
「え、ともさかさんもコミケ……」
「あ、もしかして篠宮さん? お久しぶりですー。あ、ホームページ、ずっとほかりっぱなしでごめんなさいね」
あきさんと一緒だったともさかさんはまだ子供の様な外見だった。でも、今の目の前にいる友坂さんは。
ちゃんと年齢を重ねた大人の人、に、みえた。
頭や服に猫のぬいぐるみ? をつけてて、ちょっと子供っぽい感じも残ってるけど。
友坂さんとは昔HP関係のオフ会で数回会っただけだったけど。覚えててくれたのは嬉しいな。
「あの、友坂さん、わたしあなたにお話聞いてもらいたいことがあって、もし良かったら連絡先教えてもらえませんでしょうか?」
昔のHPはもう見れなかった。あきさんの世界の事そのまま話すわけにはいかないけど、このまままた音信不通も嫌だ。
「ああ、じゃぁこれ」
そういって一冊の本を渡してくれて。
「これ、挨拶がわりに知り合いに配布してる新刊。最後にメルアド載ってるから」
え、そんな。
「あ、ちゃんとお金払いますー」
「いいのいいの。わたしのはほとんど趣味だから。読んで貰えたら嬉しいなぁってだけでやってるからね」
タイトルは、僕の中の楓。
ぱらっとめくって最後のあたりを見て、驚いた。
え? これって、あきさんのお兄さんのお話?
「そうなのー。よくわかったねー。っていうか、そっか。篠宮さんあきちゃんだもんね。縁があるもんね」
え?
……言葉にでてたよ。
あうあう。
「ありがとうございます。読んでみます」
「ありがとうねー。じゃぁまたね」
友坂さんを見送りながら。わたしは、あきさんの事を考えてた。
ぼおっとしていると。
「ねえねえ亜里沙。またあんたにお客さんみたいよ。すっごい美形」
と栄子の声に、ふっと顔をあげるとそこに。
「なに惚けた顔してるんだよ」
そう笑顔のあきさんが其処に居た。




