転生少女、と、ブースの設営。
瑠璃がもう長くないかもしれない。
彰さんのその言葉にわたしは固まった。
瑠璃は、都内の新百合総合ホスピタルに十年前から入院しているとの事。植物状態のまま意識を取り戻す事なく。
そしてここ数年、体内の数値は悪化の一歩、このままではもう長くはない。それが医師からの宣告だったと……。
朝の7時。
駐車場に到着した。荷物はピンクのキャリーバッグ一個とおのおののバッグのみ。
東の端っこの駐車場だから、目的地の西まで行くのはけっこう大変。と栄子。
「これで荷物が多かったら大変だね」
「そ、そ。前なんか荷物が多かった時に東の入り口から入ったら、キャリーカートが通れなくて大変だった。スタッフの人に西までどうやって行けばいいかって聞いてもあっちだこっちだ言われてなかなかで。最終的にスタッフ用のエレベーターに案内してもらえて、それでなんとか辿り着いたのさー。ほんと。今日は荷物少ないから楽だよ」
ああ、なんか、わかる気がする。
今日の今の時間でさえ、人の多さに目が回りそうになる。
サークル入場の人だけでなく、一般の入場でさえもうこの時間に着いているのだろうか。兎に角人がいっぱいだ。
人混みを縫い、スタッフの人の案内に沿ってなんとかサークル入場の入り口へとたどり着く。目標は西の2ホール。
無事ブースに着いて設営。
可愛い猫の絵の入ったクロスをかけて、本を並べて、ポップを立てて。
「かわいい」
「そうでしょ。自信作」
うん。これなら。
沢山の人が見ていってくれると、いいなぁ。




