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転生少女、東京へ。

 今日は8月10日、土曜日。


 いよいよコミケが明日に迫り、わたし達は車で高速道路をひた走っていた。


 最初車って聞いた時は、新幹線じゃないの? と、聞き返した。


 流石に東京まで車を運転するなんて、わたしだったらちょっと無理、だ。


 でも。


 コミケの朝ギュウギュウの電車に乗るなんて嫌。と、栄子。


 確かに名古屋と違い東京の電車事情は厳しいとは聞くし、それに、他人とギュウギュウ詰め込まれるのは確かに勘弁だ。


 普段写真を撮るためにあちらこちら車で移動してるらしい栄子は、高速道路を走るのもそんなに気にしないらしい。


 脳の構造が違うのか、長距離を高速で集中して運転できるっていうのは一種の才能ではなかろうか。そんな気がしてしょうがない。


 わたしだったら絶対集中力が続かない自信があるので、ほんとしょっちゅう休憩しながらじゃないと怖くて出来ないな。




 浜松で一度トイレ休憩をしただけであとはノンストップで東京まで。彰さんのアパートがある多摩市に到着すると、とりあえず晩御飯だと、焼肉屋さんに連れて行かれた。


 おいしい焼肉にサラダバー。うん。このヒレ一口ステーキ、美味しい♪


 ……うん。この一口ヒレステーキ、美味しいね。


 ふんわりとした柔らかさにお肉の味。とろける様な舌触り。ほんと絶品だ。


 彰さんにどうしたら瑠璃の事聞きだせるのだろうと悩んでたけど、そこはあっさりと判明した。


「そういえば水森さん、うちの妹、君達の高校の同級生なんだよ。それも、同じ部活だったって」


「そ、そ、亜里沙。ほら、藤井瑠璃さん。覚えてるよね? 亜里沙によくくっついてた」


「くっついてたって……。そっか。栄子はあんまり仲良く無かったっけ」


「まあね。彰さんには悪いけど、あたしはあんまり好きじゃ無かったんだ。あくまで亜里沙の友達ってスタンス以上には付き合いなかったかな。 まぁ、あの子、亜里沙と仲が良い一番は自分、みたいなオーラ出しまくりで、それがちょっとダメだったんだよね」


 そっか。他の子と瑠璃が仲良くしてるとこ、あまり見たことなかったっけ……。


 ……瑠璃にとって、亜里沙だけが大事で、全て、だったから、ね。


 どうして……。


 ……亜里沙と離れるなら、もう死んだ方がいいってまで思い込んでたの。


 ……。


 ごめん……。


 ……亜里沙が謝る必要なんて、ないよ。ぜんぶ瑠璃の事情。


 でも……。


「でもさ、いま、瑠璃さん、東京の病院に入院中なんだって」


「ああ。もし良かったら、一度見舞ってやってくれないかな。もしかしたらもう長くないかもしれない……、から」


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