魔法少女、と、ラインハルト。
「ははは。わかるのかい? 私が」
その男は少し間を置くと少し笑みをこぼしながら言った。
「思い出したんだよ。あんたの魔力」
亜紀はそう答える。めんどくさそうに顔を顰め。そしてため息を一つ。
「あんまり関わりたくは無かったんだけどな……」
と、そう独りごちた。
亜紀の目の前に居たのは如何にもさらりーまん全としたごく普通の中肉中背の男性だった。
髪型も大人しめの短髪、黒縁眼鏡にグレーのスーツ。年の頃は30歳を越しているかどうか。
出勤前に尾けてきていた魔力持ち。
開店と同時に来店し、カウンターでビールを呑んでもう小一時間が過ぎた。
静かに呑んでいるだけで話しかけても来ない。姫が時折声をかけるが軽く会釈するだけで声も出さず黙って呑んでいた姿に、その魔力を何処かで感じたことがある、と、ずっと思案していたが。
先程やっと思い出したのだ。
最後に自分が倒した筈のラインハルトとは違う。サーラと面会した最初の時に側で控えていた騎士の魔力。
あの膨れ上がった状態の暴走した魔力はどちらかといえば魔王のそれとほぼ同じ波紋の魔力であったので、今まで気がつくのが遅れたのだけれど。
ここに、存在してくれていて良かった。
そう想う自分もいた。あの戦いで殺してしまった罪悪感は、ずっと自分の業として、あった、から。
「君の魔力を感じてね。後をつけてみただけなんだけどな」
「少し話がしたくて、ね」
そう、ぼそぼそ、と話す。城で見た印象とは全く違う彼に、亜紀は少し戸惑っていた。




