転生少女、考える。
何なんだろうほんとちょっと残念な人だったな。
って、普通ここは助けてくれてありがとう、な展開?
それともすっごく失礼な言葉に怒って良いところ?
うん。だめだ。わたし情緒に欠けるのかな。何とも思えないや。
騎士様の名前とかわかんないけどすっごく綺麗な人だった。
男の人に綺麗はないかもだけどそれでも。いいじゃん美青年。
それがあの気だるそうなやる気なさそうな態度と口の悪さで台無しだ。
好感度サイテー。間違っても好きにはなれない人。
これが外から見てるだけ、だったら、違ったのかもだけど。
それよりも。
お弁当を食べながら色々と考えてしまった。
あの現象。だ。
あれ、空間そのものが変質してた。目に見えるレベルで破れていた。
虫、って、バグ?
思いつくのは前世で読んだいろんなSFやラノベ。
特に思い出したのが……
そのお話の中で主人公は20世紀に普通の女性として生きていた。もうじき結婚する予定の恋人とデートをしている最中に、ある出来事があって。
思い出したのだ。その世界が偽りのものだと。
戦争が地上を人の住めない世界にし、人々はコールドスリープのカプセルに入り人類の行く末を未来に託すことになった際、その心を仮想世界に退避させ。
そこでの偽りの平和な人生を送っていた、というオチ。
ここも……
そうなのだろうか……
怖かった。この身体が現実のものじゃないとかお父さんお母さんが現実では無いとか、そんなことを想像する事に。今までの十五年の人生が、ただの夢かもしれないと、そう思う事が、嫌だった。