転生少女、の、怒り。
あいつ……。
あいつだけは、許せない!
わたしの中で、今まで感じたことのない程の感情が湧き上がる。
この世界に生きてきたキオク、大切だったもの、危うく無くしちゃうところだった。
大切なこの世界、それを、よりによってわたしのこの手で消してしまうところだった。
それに、ナナコ、どこにいったのかわからない、ナナコ。わたしの大切な、ナナコ。
みんなあいつのせい!!
「離れてて、瑠璃」
自分の周りの膜が膨らむ。わたしのパーソナルスペースが拡大していく。
心の奥にあった、異物が、また、熱く、あつく、なっていく。
「我が名はガレシア、ほら、貴女も名前がわかったほうが憎みやすいでしょう」
ガレシア、そうか、ガレシア。
両手を広げ、近づいてくるガレシア。
目の前が真っ赤になる。
自分の中から溢れてくる感情の、制御が出来なくなった。
☆☆☆
ダメ、アリシア、
のまれちゃ、感情を増幅しちゃ、だめ!!
聴こえてないな
これって、あいつの狙いそのもの? だよね。
そう。悪意や恐怖、そして、今は憎悪。こういったものを増幅させて魔王を操る。終末プログラムのやつのいつものやり方。
アリシアには、そういった悪い心、ほんと、無かったから。今まで大丈夫だった、のに。
魔王アリシアから光の、エネルギーの塊が放たれ、ガレシアに当たる。
ガレシアは大きく燃え上がりそして。
「か、は、は、は! これで、いい。これこそが、魔王。完成した!」
炎は大きくなり、人型を完全に飲み込む。その焔は悪魔の顔に見えた。




