表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/176

魔法少女、の、戦い。

 あきにゃーって、ふざけた名前ね。


 そう言うなって。まだ幼稚園の時だったんだ。この名前できたのは。


 そっかあきさん。幼稚園の頃から魔法少女してたんだ。


 く、いいだろそんな事!


 っていうかあきさんって、女の子、だったの?


 そ、そ、びっくりでしょ?


 あーもう、そんな事はいま関係ないだろ? 目の前の魔王をなんとかしなけりゃ、この世界が消えちまうぞ。


 あ、手荒な真似はやめてね。あれは魔王だけどアリシアなの。


 だから、魔王がアリシアなんだろうが。


 ちがうわ。アリシアは魔王だけど、だけどこの世界をデリートしようとしてるのは別なのよ。別のプログラムがいるの。


 どういう事、だ?


 見えるよね。あの子の真ん中に、魔石があるの。あれがアリシアを暴走させてる。


 ああ、あれは……。レイヤー乗算されてる。取り除くとか、難しいぞ。


 っていうか、こないだの爆発、あれのせい?


 そうだとおもう。あいつらの所為で……。


 よし。わかった。とにかくあれをあの子から取り除く方向で。




 あきにゃーの両手から光の矢が飛ぶ。


 魔王アリシアはそれを簡単に弾き、そして同じように光の矢を飛ばしてくる。


 互いの位置を高速で入れ替え、複数の光がお互いを交差し、弾き、反撃。一見一進一退に見えるも、魔王の仕草は緩慢で、それは攻撃を反射しているだけの様にも見える。


 うん。これは、ちょっとまずいか。


 中庭で異常があった事はすぐ館中に理解されて、騎士団が到着する、も、あきにゃーと魔王の対決に割って入る余裕がなかった。


 しばらく、膠着状態が続き、そして……。


 クロコがアリシアに向かって飛びついた。


 アリシアの魔力の壁を懸命にかいくぐるクロコ。


 焼ける匂い。苦しいだろうに。クロコ……。


 ああ、クロコ……。


 ごめんねこんなになって……。


 ☆☆☆


 わたしはクロコを抱きしめた。


 焔の膜からクロコを守る。


 そして。クロコがわたしの、中、に、潜る。


 ああ、クロコはわたし。わたしの一部、だったよね。




 わたしの中に、異物、があった。


 そしてそれはわたしのキオクを包んで見えなくしていた。


 でも。


 クロコが持ってきてくれた。残りのわたし。


 うん。残りのキオク。


 クロコの力を借りて、異物を制御する。


 わたしはわたしの中のキオクを解放、した。



 ☆☆☆



 アリシアの周りの光が七色になる。


 アリシアの、意識が戻った?


 でもまだあの魔石はそのままだ。


 うん。でも。


 暴走は、治った、かな。



 俺はレイヤーを解除して秋の姿に戻る。


 いつのまにか隣には公主サーラの姿があった。


「ありがとうございます。秋様」


 サーラはそれだけ言うと、七色の光に包まれたアリシアに向かって走り出した。


「亜里沙ちゃん、亜里沙ちゃん、亜里沙ちゃん!」


 サーラはそのままアリシアに抱きついた。周りの目も気にせずに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ