転生少女、と、終末プログラム。
中庭の小道を進むと最初のベンチには男の人が座っていた。
背の高いすらっとした人。
っていうか日本人?
華奢で、綺麗な顔で。
ジャケットにジーンズ、すごくラフな格好だ。
足元には黒猫。かわいいな。
なんだかこちらを見てる気がする、のですが……。
こういう場合、あまり関わりに合わない方が吉、だと、もうちょっと奥に行けばお弁当食べれるスペースがあるはずとの予感もするし、そのままこの人はスルーする事に。
でも……。こっちを見てる人と目があった場合は……。
やっぱり軽く会釈して通り過ぎることにする。
小道を少し進んだ時。
あ、
なんかデジャブ。
空間が揺れたような。
手元に、虫? カブトムシみたいなの、が、寄ってきて、わたしに手の平の上、に、留まった。
……この世界は、要らない。
……この世界、を、デリート、シマス。
頭の中に、そう、声が響く。
あ、ダメ。自我が、保てない……。
目の前がクラクラ揺れる。
体の周りが凄く熱を持つのがわかる。
エネルギーの膜、が、全身を包み。
そのまま、わたしの身体はふわっと浮き上がった。
☆☆☆
ちっ。
やっぱり魔王じゃないか。
アリシアは魔王だけど、でも、あれは、違うの。
どう違うっていうんだよ。
まあいい。行くぞ!
《マジカルレイヤー!》
お前も来い、ナナコ。
しょうがない、か。
秋と悠、そしてナナコの存在値が重なり合わさる。
そこにはアップデートされた魔法少女あきにゃーの姿があった。




