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転生少女、お仕事初め?
夢を、見ていた。
一瞬、起きた時には夢と現実の狭間が理解できず。
ここのところの出来事がすべて夢だったのでは無いか。
そんな希望は、叶えられなかった。
結局夕べはお母さんと一緒のベットで寝た。
なんだかすごくくすぐったいような恥ずかしいような、そんな気持ちが湧いてきて。
ああ、これはこのアリシアの心なのかな。そう、感じてた。
すごく甘えたい気持ち。でも、恥ずかしい、そんな背反する感情。この人は、本当に“わたし”のお母さんなのだな。そう信じられた。
わたしが起き出した時にはもうお母さんは起きていて、朝ごはんを運んできてくれた。
「アリシア、朝よ。今日はお仕事に行くんでしょう? 支度して朝ごはん食べましょう」
ベッドの脇の小さいテーブルに朝ごはんを置いて、お母さんはわたしに着替えと歯ブラシとタオルを寄越す。
「洗面は共同だから、廊下に出て右に行った端ね」
もぞもぞっと着替え、
「おはよう、ありがとうお母さん」
それだけ言うとタオルと歯ブラシを持って廊下小走りに出て、洗面所に向かった。




