転生少女、と、違和感。
お母さんに付き添われて病院に行くと、先生は、
特に異常は見当たりません。記憶の喪失も一時的なものかも知れませんから、様子をみてください。
そう言うだけで。
お母さんは心配そうに何度も声をかけてくれていたけどあんまり頭に入って来なかった。
というか、この世界はおかしい。
違和感だらけ、だ。
異世界だから、では無い。
異世界だから、こそ、おかしい、と感じているのだ。
何がおかしいっていってもそう、想定内に収まりすぎている。っていう所だ。
異世界なら異世界らしく、もう少しわたしをびっくりさせるようなそんな目新しい事実があってもいいんじゃないだろうか。
衣食住にしても、何故か現代日本で知られているようなものしか無い。
まるでこの世界を創世した神様が居るとしたら、その神様は日本人か?って思うような。そんな感じ。
箱庭に創られた小さな世界。そんなイメージが拭えない。
病院からの帰り道。
「ねえ、どうするアリシア。もう少し落ち着くまでお仕事はお休みしてもいいのよ。私とお父さんの住んでる騎士様のお宅は手狭だから、そろそろ新しいおうちに移ろうかとも思ってるの。そこで一緒に暮らそうか」
元々のお家は前回の災害でなくなっちゃったらしい。新しいおうちかぁ。それもいいかなぁ。
「取り敢えず身体は何ともなかったんだし、わたし、働きます。わからないことはリーザさんが教えてくれるって言ってましたし」
「そう? 大丈夫かしら。でも、リーザさん頼りになりそうだし。いいのかも? どちらにしてもお家は早く決めて迎えに行くわね。いつまでも寮で一人暮らしもさせておけないわ」
心配なのかな。お母さん……。ごめんね……。




