転生少女、と、修道女。
見知らぬ、壁。
寝かされているのはソファーか? 腕は後ろで縛られてるっぽい。ちょっと痛い。
右肩を下に横向いた状態、だ。
目の前には壁。周りには、人の気配は無い、か。
……気がついたのねアリシア。
ナナコ。状況解る?
……あたしはアリシアが寝てても外の様子はだいたいわかるからね。目だけが全てじゃ無いからねー。
すごいね。
……馬車で郊外に運ばれた。ちょっと不味いかな。
何かあった?
……リーザちゃんの事、情報がないのよ。
う、そっかぁ。でも、しょうがないか。どうする?
……うん。たぶん親玉が近くに居るはず。会ってみる?
そだね。やってみる!
「わーーーーーーーーーーー!!!」
「うるさい!」
バタンと扉が開いて男の人が入ってきた。
「いきなり大声出すなんてどういうつもりだ!」
「あはは、聞き耳でも立ててた?」
「くそ!」
当たりだ。多分盗聴器。このソファーに仕掛けて聞いてたっぽい。
「合わせて欲しいんだけど」
「何?」
「あんたらの親玉に」
クソガキが、とか呟いたのが聞こえた。
舌打ちして部屋を出てく。なんだかチンピラっぽい。こんなやつらの親玉って、一体何者だろう?
☆
暫く待つとカツカツという大きめな足音と共に、一人の恰幅のいい男の人が入ってきた。
ジロって睨めるように見る目がなんだか気持ちわるい。
うーん。好きになれないタイプ。この人がボス? あんまり話もしたくないなぁ。
……そう言わないの。ここは少しでも情報欲しいんでしょ。
「お前は……違うな。こんな魔力では」
あぁ。また。もういい加減、嫌になる。
「そうでも、ありませんわ。この子……。面白い、子」
後ろから、ぬっと大柄の女性が現れた。黒の修道服をゆったりとかぶり、ふわっと近づくと、わたしの頬を触る。
ゾク!
なに、気持ち悪い。
薄皮一枚剥がされたような、ざわっとした気持ち悪さが全身を襲う。
う、、
ダメ。。
と、その時。クロコが何処からともなく現れてその女性に飛びかかった。
女性の右手が素早く横薙ぎに振られ。
バシ!!
え?
クロコがはたかれた。はたかれ、壁まですっ飛ぶクロコ。辛うじて壁には足から着いて、そのまま壁に貼り付き止まる。
強い。クロコだって結構強くなってると思ってたのに。
どうしよう。
わたしもクロコも、次の一手を攻め倦んだ。




