転生少女、の、黒歴史。
昔、前世の子供の頃。
わたしはおはなしを書いていた。
ノートに思いついた世界のお話を、いっぱい。
ちゃんとしたストーリーとかなかなか出来なくて、書き始めても途中でお話が続かなくなっちゃうのとかがほとんどだったけど。
そんな中、篠宮亜希ってペンネームでとあるおはなしサイトに載せてもらったお話があって。『ゼロ』ってタイトルのお話し。
そこでの設定で使った世界観、物理世界を自分なりに創造したもの、それが、「ゼロ空間」だった。
ゼロ空間は3次元の通常空間を風船の膜の様なものとすると、その内側にある。
通常の世界のエネルギー値はゼロではなく、それよりも低いエネルギー値が存在し、そしてエルギー値がゼロである絶対ゼロ値の発見がゼロ空間航行、すなわち長距離宇宙航行、宇宙開発史の始まりだ、とかいう、厨二病な小説。未完のままネットに晒したまま、の、黒歴史だ。
とっくにデリートされてるとは思ってるんだけど、どうなんだろう?
恥ずかしいが半分、今ならもうちょっとましに書けるかもとかいう思いも半分。っていうかそれもこれも前世の話。
今のこの世界では難しいのかな。でも、思い出しちゃったら、続きを書きたくなってきた、な。
アンカーを……
そう。ゼロ空間から通常空間にもどる方法は二つ。通常空間に固定されたポートを使うか、アンカーを打って空間の膜を抜けるか。
ただ、ゼロ空間から任意の通常空間に戻る方法は、わたしの小説の中では“存在しない”こと、と、なっていたけれど、果たして。
……そう。アンカーを誰かに同調させることが出来れば。
誰か? 誰……。そんな事が可能だとすれば、瑠璃ちゃん、いや、サーラ様くらいかも?
……そう、ね。彼女とアリシアは魂の位相が近いから。
ままよ。やってみる!
頭の中でサーラ様を思い浮かべる。ゆっくりと心の奥底に潜る様に意識を移動していくと、心の奥の深い所に穴の様な出口があるのを感じた。
潜る。インナースペースを潜る。どんどん潜って境界の出口。
もうじき出口、そう意思の力を振り絞って辿り着くと、そこには入り口が。
それも、どうして理解できたのかわからないのだけれど何故か確信が持てる、サーラ様、いや、瑠璃ちゃんの精神の入り口が有った。
……亜里沙ちゃん。
瑠璃ちゃんが見える。呼んでいる。
手を伸ばすと、瑠璃ちゃんもこちらに手を伸ばしてくれて。
手を繋ぐと、そこには思いっきりの笑顔で出迎えてくれたサーラ様が居た。




