表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/176

転生少女、と、モノクロのコントラスト。

 お家に帰ってクロコを離すと、そこら中探検し始めた。


 うん。いっぱい見ていっぱい気にいるといいかな。


 木箱二つ買ったけど、一個はベッド一個はトイレのつもりだけど、ちゃんとわかるかなぁ?


 古着を詰めたのをわたしのベッドの脇に、砂を詰めたのを入り口ドアの横に置いて。


 水桶とご飯お椀を猫ベッドの脇に置いた。


 ご飯は今日は鶏肉を茹でたのをほぐして入れた。あんまり味が濃いといけないと思って茹でただけだけど、白米のご飯にササミをほぐして混ぜて混ぜご飯だ。食べてくれるかなぁ? 馬車の中ではわたしのお弁当のおにぎりを少し分けてあげたら喜んで食べたし、たぶんお米も食べるっぽいねクロコさんは。自分でお外で何か食べるかもだしそんなの沢山は用意しなくてもいいかなぁとかいろいろ考えて。


「クロコーご飯だよー」


 呼んだら飛んできた。にゃふにゃふとすごい食べっぷりであっというまに空になるお椀。


 食べ終わると満足した様に右前足をペロペロしてる。


 ふふ。ほんとかわいいねクロコさん。


 幸せそうなクロコを眺め満足すると、わたしそのままベッドにゴロンと仰向けに倒れた。ぎゅーっと背伸びをして。


 きゅ。お腹の上にクロコが飛び乗って。いきなりはちょっとキツイよクロコさん。


 わたしが両手でもふもふすると、クロコは顔をこちらに向けたままお腹の上で香箱に。


 撫で回すわたしの両手に顔をこすりつけ目を細める。


 ……かわいいね。クロコ。


 ナナコもそう思う?


 ……それは、そうよ。当たり前じゃ無い。 こんな可愛い子を可愛くないなんて思えるわけないでしょ。


 ふふ。ナナコ機嫌治ったね。良かった。


 ……うーん、このかわいいクロコを、この絵を切り取って他の人に見せて自慢したいよね。


 あはは。写真みたいに?


 ……写真。そっか。アリシアの前世の世界にはそんなのあるんだね。あたしもアリシアが思い浮かべてくれればどんなのかわかるから。


 そっか。この世界には写真は無かったっけ。


 そう。魔力で写す映し鏡みたいなのはあるくせに、紙に残すような写真というものは無かった。


 綺麗な景色とか、写真に残したいって思うのにね。目で見るのとはまた違った写真だけにある味っていうのかな、そういうのもあるのに。


 自分で実際に体験する幸せも、キオクの中に残すのも、それはそれで大事だし素晴らしいものだと思う。だけど、写真に撮って誰かに見てもらう、そんなこともやっぱり大事な幸せだ。写真を見てそしていろいろ想像して物語を思い浮かべるのも、すっごく素敵な事だ。わたしはそうおもう。


 そっか。


 前世で高校の体育館で演劇部の練習風景を撮った。ヒロインの表情をアップで撮り、モノクロで引き伸ばして学祭で展示した。


 校庭でバスケ部が練習しているところでは、ちょうどシュートが決まった瞬間を捉え。停まったボールを写し出した。


 春の桜。秋の紅葉。冬の雪景色。


 いろんな風景を切り出すのは、楽しかった。


 お古で貰ったオリンパスの一眼レフ。モノクロのフィルムを部室で現像して自分で印画紙に焼き付けて。


 薬品は臭いし今時デジタルじゃなくてフィルムカメラなんてとか周りにはいろいろ言われたけど、子供の頃に見たお父さんのカメラ雑誌にあった写真、白と黒のコントラストがものすごく神秘的に見えたあの風景写真、それ、に、魅入られたわたしは高校では他に見向きもせずに写真部に入ったのだった。


 社会人になってからは自宅に現像できるスペースなんて無かったし機材を揃えるのは難しかったからデジタルミラーレスのカメラになったけど。近所の公園で桜の花びらを撮ったり猫を撮ったり。そんな写真をネットに載せて楽しんでたっけ。自分でホームページ作ったりも、したなぁ。




 ……アリシア。緊急事態。窓を閉めてクロコ抱いてて!


 え? 何がおきたの……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ