転生少女、と、クロコとサーラ様。
公主館に戻ると公主様との謁見の場が既に整えられていたらしく、わたしは先日と同様応接室のソファーの上に。
前と同じで人払いされた部屋に、公主様と二人向かい合って。
「ごめんなさいね。わたくしが『アリシアさんが帰って来たようです』と呟いた途端、騎士団長様が大騒ぎしてしまったの」
ああ、さっきの騎士団長さまだったのね。
「心配はありませんよ、と、前もってお話しておいたのですけど……」
サーラ様のえがおは優しい。うん。やっぱり……。
「あの、サーラさま……」
わたしは全てを話そうと切り出したそのとき、
にゃぁ
クロコがもぞもぞっと顔を出した。わたしを庇うかのようにまっすぐサーラ様を見てる。
「あああ、かわいいですね」
サーラ様はそれまでの普通の笑顔からさらに相好を崩し、クロコを見る。その目を細め、笑みを深め。
「撫でても……、良いですか?」
「ああ、はい、たぶん、大丈夫みたい、デス」
クロコは大人しくしてるしサーラ様に敵意は無い感じ。だから、大丈夫かな。
わたしはソファーから腰を浮かべサーラさまの近くに行くとクロコを抱えて持ち上げた。
笑みをこぼしながらクロコを撫でるサーラ様。クロコも気持ち良さそうだ。ゴロゴロいってる。
「あの……、サーラ様はやっぱりご存知なのですか? 女神像がこの子、クロコになっちゃった事……」
この子を見て驚きもしないサーラ様。たぶんなにもかも見透かされてそう。
「ああ、クロコちゃんって名前なのですね。かわいいね。クロコちゃん」
サーラ様は……。やっぱり瑠璃ちゃんだ。
サーラ様の事がちょっと怖かった。だけど、やっぱり。




