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転生少女、ドナドナを歌う。

 ゴトゴトと揺られながら、わたしはいつのまにかドナドナを口ずさんでいた。


 昔音楽の授業で歌わされたっけなぁ。とか思い出しながら。


 わたしは歌うのはスキだったんだけど人前で歌うのは苦手で、どうしてもあがっちゃってしょうがなくて、ピアノの音に合わせることが出来なくて。


 よく放課後一人で練習したっけ……。そんな事も今ではいい思い出、だ。前世だけど。


 ま、ほんと、ドナドナの気分。


 あと1日で城下に到着だというのに、どうしようとか全く考えていない。


 とりあえずこの女神像を公主様にお渡しすればそれで、とか。甘い事も考えてる。


 ……バレないわけないじゃん?


 ナナコはそう言う。


 で、でもさ、わたしの仕事はこの女神像の買い付けだけだよ? 物はちゃんとあるんだし、もしかしたら大丈夫、かも?


 ……仮にも大預言者様でしょ? あんたの魔力がゼロなのだってバレてるっぽいんでしょ? だったらそれくらいわかるよね。


 っていうかさ、結局この女神像はなんだったわけ? やっぱり魔王が封印されてたのって、これだったの? それに他の九体の女神像は、なんなん?


 ……今更それを聞くー? ほんとバカね。


 どうせおバカですよ!


 ……しょうがないなぁ。教えてあげるわよ。


 ナナコ、ちょっとだけ優しい声になった。


 ……えっとね。これくらい大きな魔石になるとね、放出する魔力より吸収する魔力の方が大きくなるんだけど、それは知ってる?


 え……知らなかった。


 ……もともと魔石はどんな魔石でも、自身の中に保有する魔力回路が周囲にある魔力を吸収する様に出来てるの。だけど通常は放出する量の方が大きいから、ほかっておくといつかは魔力切れをおこすのよ。それをチャージする事で蓄積器として使ったりもするのね。


 なるほど……。


 ……でも、それがある程度の魔力の塊、事象の大きさの分岐点を超えると、吸収する魔力の方が大きくなって、それがやがて魔獣って存在になる訳。


 ……魔獣を倒して出てくる魔石は倒されたという事象で魔力が発散されてるから、この分岐点を下回るの。


 ……まぁこの大きさっていうのも見た目の大きさじゃぁないんだよ? 存在の大きさって言ったらいいのかな。だからこの世にある魔石がどんな大きさに見えようと、それが魔獣を生んでいなければ、分岐点以下だってことなのね。


 え? じゃ、どういうこと? この女神像、魔獣になってないよね?


 ……これは、真皇真理教の人間が、魔石に特殊な加工をして封印された魔王とネットワークを繋ごうと作成した言わば魔王の端末って存在なんだけど、って、要は元々はあたしと人を繋ぐ為の装置? みたいな?


 あうあう。じゃぁ他の九体も?


 ……そ。でも今のところ繋がったのはあんただけかな。たぶんあんたの血に反応したっぽいよ?


 えー。したっぽい、ってなにさ。


 ……とりあえずもう繋がっちゃったから、この女神像の役目は終わり。もうこれ、ただの魔石に戻ってる。


 ええ?


 ……特殊な加工っていうのの効果も切れてるから、だんだん魔力が集まってるんだけど……、そっか、アリシアには見えないか。


 えー? そしたらこれ、どうなっちゃうの?


 ……あ、話してる間に臨界突破したらしい。


 嘘! あ、何?


 胸に抱いてる女神像が、なんだかほんわか暖かくなって、もぞもぞ動き出した。




 そして、布の間から真っ黒な小さな顔をもぞもぞって出すと、にゃー、と鳴いた。

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