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大預言者、初めての恋。
それは、予言めいたものだったのかも知れない。
放課後、お気に入りの本を机の中に忘れてきてしまった事に気づいたわたしは、少し慌てて教室に戻ったのだった。
そして、見てしまった。
べつに、なんて事ない光景、かもしれない。ただ彼女は、音楽のテストの前に放課後一人で歌ってた、ただそれだけの事だったのだ。
あは、ごめん。うるさかった?
そう、はにかんだ笑顔で話す彼女が、眩しかった。
一目惚れ。そういう言葉には縁がない筈だったけど、たぶん。
わたしが恋をしたのは、同性の女の子、だったのだ。
それまで、そんなことは考えたこともなかった。女、なんて、汚い。そう、思っていたのに。
彼女は違う、彼女は、綺麗、彼女は……
ワタシハアリサガスキ。
そう。自覚した。




