エピローグ。
エピローグ。
あたしの中にリウィアが存在することがバレて、両親共々公主館で保護される事になってからは暫く穏便な日々が続いた。
時々マルクスさんが会いに来るけど、その時はリウィアに身体を貸してあげる。穏やかなナイスミドルで良い感じの男性。お話ししてお茶して帰るだけだけど、暖かい気持ちが流れ込んできて嬉しい。
サーラの瑠璃とは今でもいいお友達を続けている。
時々ちょっと気まずい顔をされるけど、まあしょうがないか。
結局あたしはナナコとアリシアが統合された状態っぽい。普通に考えたらナナコの還る先はサーラだって思うよね?
でも。
二人に分かれた時点でもう別人格なのだ。そうそう一つには戻れないよね。お互いに別の自我を持ってたのにさ。
なのに何で?
あたしはナナコの自我とアリシアの自我が一つになった訳だけど、これは一体何故なんだろう。そこはちょっと不思議だった。
別にこの状態が嫌なわけじゃない。
今のあたしはアリシアだった頃のことも、ナナコだった時のことも、ちゃんと両方自覚している。
好きだったよ。あたしはあなたのこと。今でもそう、言ってあげたい。
お互いにたぶん、同じくらい好きだった、かな。
大好きで、大事で。どちらかが欠けてもきっとその喪失感で立ち直るのに凄く時間が掛かっただろうと想像できるくらい、好きだった。
あたし、アリシアのインナースペースの大部分を切り離した時。
多分アリシアとしては『保たない』状態になりかけた。
少なくともあたし、ナナコはそう思ったのだ。
だから。
足りない分を繋げて押し込んだ。
あたしはアリシアにあたしの全てを押し込んだのだ。
助かって欲しかったのはアリシアの方だった筈で。
でも、わたしもナナコに助かって欲しかったんだよ。と。
そう。
多分、お互いに同じ事を願ったんだろうね。
そもそも魔王石からアリシアを守る為にリウィアの力を借りて心の一部を緊急避難させた時、あたしナナコはアリシアと心を繋いでおいた。
保険? っていうか、アリシアを助けたかったから。万一の事がないように、だ。
そのせいもあったのかな。
あたしがナナコであった時の思考と、アリシアの思考は同調してたから。
サーラの瑠璃に知られた時は物凄く嫉妬された。
でもさ、一つになっちゃったらもう恋愛も出来ないんだよ?
そうあたしが言うと、ちょっと考え直したっぽい。
まあ、此処のところは自分と葛藤してる感じがするけどね。
あたしのことを亜里沙ちゃんとは呼ばなくなったから。
サンドラは……。
最近はすっかりと大人しくなった。
自分がしようとした事を瑠璃に散々責められたらしい。
最後には、
「あたしがサンドラのこと大事に思ってないとでも思ったの!」
と泣き叫ぶ瑠璃に負け、一緒に抱き合って泣いていた。
そういえば一つびっくりした事が。
なんとあのガレシアはプブリウスの兄だというのだ。
それも帝国騎士団の一員との事。
道理で強かったわけだ。
女装? して真皇真理教に潜り込んでいたのだというはなしで……。
っていうかあれはないよ。
ほんと最初からサンドラの計画だったって事じゃない。
あきさんが居なかったら多分あの段階で終わってた?
でもそうしたら地球の瑠璃が死んじゃってたらこの世界は終わってたし。
そう考えると、あきさんが現れたお陰でサンドラの計画が狂い、この世界が救われたってことになるよね。
ほんと、人間万事塞翁が馬。大預言者だって全てを見通せる訳じゃないってことだよ。
あは。
あたしは結局アリシアとして生きていく事になったわけだけど、それはそれ。悪くないよ。
ナナコとしても、アリシアとしても。
この世界が大好き。この世界の優しい所が本当に大好きだ。
そして。
空を見上げると其処には何時もカエサルがいる。
そう思うと。悲しいけれど、嬉しいのだ。
今日も青い空が見える。
眩しくて。 ちょっとだけ涙がでた。
End
ここまで読んで頂き本当に感謝しています。
この後、もしかしたら番外のSSは書くかもですけど基本此処で本編は終わります。
ほんとうにありがとうございました。
もし、お気に召してくださいましたら。
何らかの評価を貰えると嬉しいです。
ちょっとした一言感想でも構いません。
わたしは自分ではこのお話がおもしろいと思っているのですけど、読んでくださった方もそう思ってくれるのかどうかわからなくて。
どうかお願いです。
どんな方法でも構いません。教えてくださいな。
新規で連載始めました^ ^
アルカロイド 〜魔王の僕とボクノマオウ〜
こちらも宜しくお願いします。