転生少女、と、世界を繋ぐ穴。
……わたしたちはこのままバルカを追ってあの穴に潜るね。あきは……。お願い。世界を切り離して欲しいの。
「どうするんだ?」
……ちょっとまってね。
わたしはマジカルレイヤーを解除しあきさんを強制的に排除した。
目の前に揺らめくあきさんの思念体。その頭にそっとわたしの頭をつけるように重ねる。
あは。
あきさんの顔がアップで見える。なんだかちょっと恥ずかしい、な。
意識だけ繋いでキオクを流し込む。もう二度と使う事の無いと思っていたマイクロコスモスカッターの術式。
世界を形づくっている空間も人のインナースペースも元を正せば同じマナによって出来上がっている。
だからきっと、この世界を繋ぐ穴もこれで切断出来るはず。
そうすれば、わたしがもしもバルカに負けるようなことがあっても、この世界だけでも助かるから。
ごめんねあきさん。
この山に溢れるマナを使えば穴を塞ぐ、切り離す分くらいはカッターを起動できるだろう。
だけど。
わたしの時のような副作用が無いとも言えない。
だから。ごめん。
《いいよ。俺にしか出来ない事なんだろ? だったらいいよ》
ありがとう。あきさん。
ありがとう。さよなら。
わたしは穴に飛び込み。
そして。
……あき、大丈夫かな……?
うん。でも、このままこの穴が繋がったままだとあの世界めちゃくちゃになっちゃうかもだし。
その辺にいる魔獣だってあの世界じゃ脅威だ。
……あきだって。今のあきにはまだ荷が重いよね。
そうだね……。
穴を抜け、たどり着いた場所はあのときの爆心地だった。見事に山が抉れてる。
そして。
「追って来たのか魔王よ。しかし……。先ほどより随分と魔力が落ちてないか?」
岩の上で腰掛け、こちらを見るバルカ。
かなり消耗しているようには見えるけれど、それでもまだその魔力は高い。
「決着を、つけようか」
そう、不遜な瞳を向け立ち上がるバルカ。
わたしは……。
なんとか心を奮い立たせ、バルカに対峙した。