転生少女、と、天城博士。
そんな不安をよそに、麻里子の後をついていったわたしたちはどうやら目的地に到達したようだ。
もう、扉からしてちょっと変わったデザイン。少し丸みがかった入り口。
未来のSFに出てくるような、たとえば宇宙船のコントロールルーム入り口のような、そんな雰囲気のゲートがそこあった。
目の前に麻里子が立つと全面に光の線が走り、扉が開く。ちょっと厨二っぽい演出?
目の前に見えるのは大きく透明な筒。床から天井まで続くその筒は、床面で剥き出しのケーブルに繋がれて周囲の計器らしいものに囲まれていた。
中はどうやら少し青味がかった液体で満たされて、そこに薄紫でこぶし大くらいな結晶体が浮かぶ。
計器とにらめっこしてた白衣を着た老人がこちらに振り返り、
「ああ、麻里子や。今日はどうしたね」
と、言った。
んー。
この人が天城博士?
なんだか優しそうな笑顔を浮かべてる。
どんなに怖い人が現れるかと戦々恐々としていたわたしは、少し拍子抜けして。
「今日はおじいさまにおはなししたいことがあって……、この子、アリシアさん。異世界から来られた方なんですけど」
「おお、新しい天使か、ありがとうよく来てくれた」
「アリシアといいます。よろしくお願いします」
「魔力値が桁違いか。これは凄い」
モノクルに手をかけこちらを凝視する博士。
……あれ、魔力値が測れる魔道具のようですね。
そうなの? サーラ。
……ええ、まず間違いなさそうです。
「ちょっと、おじいさま。あまりに不躾じゃないですか? 」
「おおそうか、わるいわるい。あまりに興味深いものを見ると其方に意識がいってしまう悪い癖だな。すまんかったよ麻里子や」
「アリシアにもちゃんと謝って」
「そうか。お嬢さん悪かった。わしは天城賢三。此処で魔法力学について研究しておるのだが……。色々と話を聞かせてはくれまいか」
「あ、はい。わたしも色々とお伺いしたい事がありましたので」
「とりあえず応接ルーム行こう。隣にあるの。いいでしょうおじいさま」
「ああ。令君が訪ねてくるのも久しぶりだな。ちゃんと前回のリクエスト、エナジードリンクも常備しておるよ」
「ありがとうございます博士」
……なんだか聞いてた話と違いますね。
……そんなに悪い人にみえないよ?
だよね。
ほんとイメージ違いすぎる。
だけど、あきさんだって危険だって言ってたんだし、これは身内だから? 麻里子がいるから?
……なんにしても油断は禁物だ。魔王殿。
うん。気を引き締めていかなくちゃ。