転生少女、と、パラレルあきさん?
「ちょっとそのままリラックスしててね」
ありあとまりあのうちに到着して。
皆でリビングに集まったあと、まずわたしがありあの状態を確認することとなった。
わたしは椅子に座ったありあの両手をとって。
意識を集中する。
……あたしが移動してありあの中の様子みてくるからね。アリシアはそのままありあに魔力を通すイメージのままじっとしててね。
オッケー。お願いねナナコ。
みんなが見守る中ありあには少しリラックスしてもらうよう簡単なヒールをかけて。
段取りはこう。まずわたしのインナースペースとありあのインナースペースをちょっと繋げる。これはサーラのチカラで。
そしてナナコがありあの中に入り様子を診て見る。そんな流れ。
あまりわたしの影響がありあに入り込まないようには気をつけて。
ナナコが通ったらナナコとの接続だけ残してあとはせきとめる。この加減にちょっと注意しなきゃかな。
ナナコとはずっと繋がってるのでちゃんとイメージは共有できるのがいいかも。
ありあの中に潜っていく。
真っ白な世界の中、中心に少し紅い色が見える。
……あれは不安の塊に見えますね。
サーラにはそう見えるんだ?
……ええ。この子の不安が他者との境界を生み出して、ああいう色になっているみたいな? そんなふんわりとした感じとしか言えないですけど……。
……だんだん紅が濃くなってきた。なんだかこれ以上進むのが難しいかも?
えー、ナナコ、だめっぽい?
……ねっとり重いの。っていうかこれは本人の意識を引っ張りださなきゃ難しいかな。どうも拒否られてるっぽいよ。
「ねえありあちゃん。わたしに診られるの、嫌?」
ちょっと困った顔をしてわたしを見るありあ。
「ごめんなさい……」
そういうとそのまま俯いてしまった。
うー。どうしようか。
本人が嫌ならこれ以上は無理?
……ちょっと進めないかな。どうしよっか。
隅っこでむすっとしたままだったあきさんが立ち上がってありあに近付いた。そのまま肩に手を掛けると、
「ありあごめん。ちょっと入るよ」
そう言うとそのままあきさんの意識が流れ込んでくるのがわかる。
ねっとりとした紅に絡め取られているナナコの目の前に、あきさんが現れた。
……あれ? あの女じゃないのか?
……ああ、あき、おひさー。ナナコだよー。って、このあきは前のと別人だっけ?
別人、かな? わかんないけど過去のあきさんだし。このままだとパラレルあきさんになっちゃうぽい?
……パラレル? って、俺の事知ってるのか?
知ってるも何も。さっき話したマジカルレイヤーを使いこなす魔法少女ってあなたのことだよ。っていうかみらいのあきさんか。
……魔法少女あきにゃー。そう名乗ってたよ?
……そっか。納得した。正直ちょっとあんたの魔力が大きすぎて警戒してたとこもあったんだけど。未来の俺と会ってたのなら悪いやつじゃないよな。
……んー。今のアリシアよりも未来のあきの方が強かったんじゃないかな? まあアリシアが魔王の力取り戻せばわかんないけど。
……ん? 魔王?
……そ。魔王。
……って魔王なんて最悪じゃないか。くそ。さっきの悪いやつじゃないなんて思ったのは間違いだったのか。
……アリシアは悪い魔王じゃないよ? だから未来のあきだって助けてくれたし。あたしたちがここに来ることが出来たのだってあきのおかげかもしれないし。
……そうです。あき様の教えて下さったインナースペースの操作法が無ければわたくしたちはここにこられませんでしたよ?
……お前は? また別人か?
……わたくしは大予言者サーラと申します。未来であなたに助けてもらいました。ほんとうに恩に感じているんですよ。
……そうか。未来の俺、良いことしたのか、な?
うん。あきさんはわたしたちみんなの恩人だから。
……そっか。じゃぁ。ありあの深層意識引っ張り出すの、俺も協力するから。
ありがとうあきさん。
これで少しは前に進めるかも? だ。