転生少女、と、あきさんの世界。
「ありあのお仕事小一時間かかるから、それまでそこのマックにでも入ってよ?」
と、まりあ。
うん。マクドナルドかぁ。やっぱりこの世界、近い世界だよねー。
「マクドナルドなんて久しぶり。ああ、テリヤキバーガーが食べたいかも」
「あなた結局何年ごろに転生したの?」
「え? 令和元年かな」
「令和? 何それ。今は2015年だよ? 和暦だと平成27年。っていうか年号も違う世界なのかな?」
「ああ、時間軸、ずれてるんだ。令和元年は2019年だよ。おまけにわたし転生してから16年経ってるし……」
「えー未来から来たってこと?」
うーん、ちょっと違うかな。
「ちょっと違うかな。時間軸が違うだけかもだし。もともとここは多分わたしの前世の世界でも無さそうだし」
話しながらマックに入り、コーヒーを頼む。っていうかわたしお金無かったからテリヤキバーガーは諦めた。コーヒー代はまりあが出してくれて……。
「うーん。お金なんとかしないとかぁ」
「っていうかあなた何しにこの世界に来たの?」と、令。
この子達なら信用出来そう? 情報集めもしなきゃだし。
「4年前に穴が空いたの。わたしの世界とこの世界をつなぐ穴。その時にその穴に飲まれた人を探してるんだ」
カケラの半分はリウィア様の身体の中なんだよね?
……ええ。バルカに何もされて無ければ……。
そっか、そういう問題もあった。
……アリシアはこの子達信用するの?
うん。この世界じゃ派手に魔法使う訳にもいかないだろうし、協力者は必要だよね。
って、なんか微妙な顔になった目の前の二人。何か知ってる?
「麻里子呼んだ方がいいかも?」
「うん。そうしましょう。彼女から聞いた話ともしかしたら繋がるかも?」
麻里子って、なんか何処かで聞いたような名前……。っていうかこの反応、さっそく当たり?
「さっきは結局あきさんに会えなかったし、それも麻里子に聞いちゃおうか」
ん?
あきさんに麻里子さん……。
まさか、ね。
令が電話をかけて。その麻里子さんって人も此処に来るらしい。
ありあのお仕事もそろそろ終わるってまりあ。
空はすっかり薄暗くなった。この子達高校生って事はあんまり遅くまではまずい?
「時間、大丈夫?」
そう聞いてみると、
「こんな経験滅多にできる事じゃないもんね。うちはお仕事で遅くなることも多いし大丈夫だよ」
っていうかなんのお仕事? ちょっと不思議。さっきのビル、飲食店が入ってるようなところじゃ無かったし。
「ありあとまりあは雑誌モデルだから、今日は撮影があったらしいよありあの方」
ありがとう令くん? わたしの気持ち察してくれた?
っていうかモデル? 道理でかわいいわけだ。
「令君は? 大丈夫?」
「わたしは前世がいい大人だったしね、アラサーの腐女子だったんだよねー。だからぜんぜん大丈夫だよ?」
「あー、わたしも前世アラサーの事務員だったよ、なんだか親近感湧くかも」
「あははー。同年代だったかもね。っていうか世界も時間軸も違うけどー」
とりあえずたわいもないお話でお茶を濁しつつ? 事情に詳しそうなその子、麻里子さんを待つ。
……まりあからは感じないけど、令からはけっこう強めの魔力を感じるよね?
……ええ、ほんと不思議。どういうことなんでしょう?
うん。この子、令は転生者って名乗るだけあってちょっと不思議。まりあからはほんと全く魔力を感じないけどありあと令からは強い魔力を感じてる。
そうこうするうちに麻里子さんが到着したらしい。
隣に男の子を連れて。
っていうか、男の子?
女子用の制服着てる。スカートでかわいい制服……。
こっちは令と正反対で雰囲気完全に男の子。
って。
入り口から入ってきたその子、ちょっと若いけどあきさんそっくり?
って、どういう事? ここってもしかしてあきさんの世界?
女子高生のあきさん? なの?