転生少女、と、二人の瑠璃。
ああでもこれだとサーラの身体が困るよねどうするの?
……そうですねー。しょうがないです。サンドラーおきてますかー?
……起きてますよ。ほんとしょうがない子達ですね。わたくしが其方に戻りますね。
……ごめんなさい。お願いね。
むくりと起きるサーラ。ちょっと心臓に悪いなぁこういうの。
「むこうの分身体は収納しておきましたから騒がれることはないでしょう。安心してくださいね」
ああ、そういうこともできるんだカッサンドラ様。
……サーラの身体がここにある限り、インナースペースで繋がった亜里沙ちゃんは絶対に戻って来れる。うん。絶対、だよ?
あは。うん。ありがとうね瑠璃。
……あたし、なんだか調子がいい? って、サーラと繋がったおかげ? そっかぁ。ごめんサーラ。此処で一緒にいるの、許可してあげてもいいよ?
もう、ナナコ。
……そうですよー。わたしのおかげなんですからね。ナナコさん。感謝してね。
わたしのインナースペースの中にはクロコとシロがいるはず。実はレヴィアさんも入れてって言うからいれてあげてる。
ちょっと様子を見てみようかなって、ゆっくり自分の中に潜って行った。
相変わらずの真っ白な世界。
でも。
見えてきたサーラとナナコ。
ソバージュにみえるくらいの天パで茶色の髪色。ちょっとソバカスの残る幼い顔立ちの瑠璃。
高校の頃のそのままの瑠璃が、二人、そこに居た。
双子のようにそっくりの二人が。
シロとクロコがゆったりと二人に寄り添っている。
「瑠璃ちゃん……」
わたしは思わずそう呟いていた。
「亜里沙ちゃん、亜里沙ちゃんだ!」
「ああアリシアってそういう風だったっけ。日本に行った時はもうちょっと老けてた?」
「もう、ナナコひどい!」
ここはキオクの世界。なのかな? ここで顕現してるわたしの容姿も高校時代のわたしになってるらしい。目の前に垂れる髪も黒髪だ。
でも。
うん。サーラとナナコの二人の瑠璃。そしてわたし、アリシアの亜里沙。以前ナナコと二人でいたときっとはちょっと違ってなんだか心が溶け合うようなわかりあえるような、そんな感じがして。
少しくすぐったい。
二人の好意が溶けて溢れてくるような、そんな甘い感情がわたしのまわり全てを包んでいる。
そんな幸福感で満たされて。
もうこのまま満たされていたいって欲求に抗えなくなりそうになったところで大きな声に起こされた。
「魔王殿! 惚けている暇はないぞ!」
レヴィアさん!
真っ白な世界の壁に、大きな赤い目が光った。
「これで後顧の憂は無くなった。さあ行こうぞ」
わたしの身体がレヴィアさんの覇気に包まれたのがわかった。
そしてそのまま祭奥の間の黒い穴までゆくと、吸い込まれるようにその穴の中に飛び込んで。
えーまって……、まだリーザに何も言ってないし……。