転生少女、と、瑠璃のキオクの世界。
……この世界がわたしのキオクから産まれた世界なら、わたしの中に還ることでナナコは助かるよ? きっと。あの子、マイクロコスモスカッターでオリジナル瑠璃との接続が切れたことで、存在値が薄くなってたから。
あ……、ありがとう、瑠璃。ごめんね……。
……ううん。ナナコ助けたかったのはわたしも一緒。それにね。わたしなら絶対にこの世界との接続が切れることが無いから、どこに行ってもきっと戻って来れる。あきさんが話してくれたんだけど、インナースペースの接続を切ってなければ帰れた筈だったって。だから。
あきさんはインナースペース簡単に切ったり繋げたりできるんだ?
……それね。わたしもそう思って試してみた。まだ切り離すのはしたことないけど。
えーそれって今回の事? 試してみたって。
……ふふっ。そ。亜里沙ちゃんと繋がったのが初めてだよ。
ふわんとした、あたたかい感情が流れ込んでくる。瑠璃の心、か。
……と、いう事で。そこまでちゃんと考えてのことだからね。これで亜里沙ちゃんと安心して異世界に旅立てるよ。
あはは。うん。瑠璃、怒ってごめん。
リーザには悪いけど、黙って行くほうが良いかな?
……うーん。わたしは話して行った方がいいとおもう。っていうかコルネリアもそうだけど、絶対ついて来たがるよ?
そうなんだよね。
……だけど黙って行ったら悲しむ。わたしだったら絶対嫌。だから、ちゃんと話そう。
そっか。そうだよね。うん。
じゃぁ、
「嫌だよ! あたし置いてくの? アリシア!」
それまで寝てると思ってたサーラのナナコがばっと起き上がって。
「置いていかれるの、いや……」
わたしに抱きついて泣き出した。
「起きてたの? ナナコ。というか聞こえてたの? わたしたちの会話」
「繋がってる? 感じ。今まで通りアリシアの心の声、聞こえるよ?」
……身体は離れててもインナースペースは共有してる状態だからね。だから、置いて行くんじゃないよ? 身体だけは此処で待っててね、っていうだけ。どれだけ離れても心の中ではちゃんと繋がってるから。
「世界が離れても?」
……うーん、この世界の中でならサンドラと試してるからわかるけど本当のこと言うと異世界に行くとどうなるかは試してみなきゃわかんない。
「なら嫌。サーラずるい。ほんとはあたしがアリシアと一緒に行く筈だったのに」
……ずるいのはナナコでしょう? 今まで散々亜里沙ちゃん独占してきて。わたしがどんだけ嫉妬してたか。
「だから気に入らなかったの! あんたの事。元が同じだとは思えない! アリシアはあたしのだもん。サーラにはあげないよっだ」
もう二人とも……。
「もう、いい。あたしもそっちに還る!」
サーラの身体が唐突に倒れる。わたしはその身体を抱きしめ、なんとかソファーに寝かせると。
……やったー。戻って来れたよー嬉しい♪ サーラ、あんたには負けないよ!
……わたしだって……、わたしだって亜里沙ちゃんが好きなことは負けませんからー。
もう。
あ、でも、心なしかナナコが少し元気になった気がする……。