キオクの中に還る・・・・・
さぁ。どうしよっか。
っていうか一体全体何がおこったの? というか、サーラは一体何をしたんだろう?
目の前でスヤスヤ寝てるサーラを起こさないようそっとソファーから降りる。
っていうか、この子今ナナコだよね?
心の奥にナナコの存在を感じない。ナナコはクロコの中にもあきさんの中にも入ってたから、わりあいあちこち移動できるんだろうっていうのはわかってるけど。
それにしても、だ。
じゃぁ、サーラ、というか瑠璃は何処へ?
それに。
起きた時から感じている違和感。
インナースペースがおかしい。
わたしのインナースペースの奥底、その底にまだ別の何かが繋がった。どうやら、そんな感じ。
瑠璃! いるんでしょう? 返事して。
……亜里沙ちゃん……。怒ってます?
ああ、やっぱり。
当たり前でしょう? インナースペース、繋げるなんて。
もし事故が起こったら取り返しがつかない事になるかもなのに。
……だって。亜里沙ちゃんが悪いんだよ。わたしを置いて行こうとするから。ナナコだけ連れて行くなんてずるいよ……。
そんな。瑠璃ちゃんを危険な目にあわせたくないから……。
……ナナコだってわたし、だよ。だから、今回は交代してもらうことにしたの。
んー、そういえばそういう設定? だったっけ?
……設定とかとちがうし。
あは。でも、瑠璃は自覚があったの? ナナコと自分が同じ瑠璃だって。
……マイクロコスモスカッターが使われた時、ね。いろいろなイメージが流れ込んできたの。
ああ。
わたしも実はあの時、分離して日本の世界に帰る自分も自覚してた……。
同時に存在してる自分、並列意識。そんな不思議な感覚を少し味わった。
今の瑠璃は、そんな多くの意識の集合体であるのかもしれない、か。
もともとこの世界は瑠璃のインナースペースから産まれた。
そして、瑠璃から剥がれたナナコが生まれ、カッサンドラ様が生まれ、そしてサーラが生まれた。
わたしの中に流れ込んできた瑠璃の意識から、そういうイメージを読み取って。
……デートリンネの言葉を思い出したんだ。
……わたしはわたしのキオクの中に還るんだって。