転生少女、と、黒く光るひかり。
光が呼んでいる。
あれは、サーラの際奥の間。
黒く光るひかりがわたしを呼んでいる。
ふっと目覚めて。
今まで凄く大切な夢を見ていたはずなのに思い出せない。
覚えているのは際奥の間の光、だけ。
もっと重要なメッセージを受け取った筈なのに。そう思いながら起きた。
顔を洗いお母さんと一緒にご飯を食べて。
心の中でお母さんに謝った。
また、暫く留守にするね。と。
今日は本当はお休みを貰ってた。でも。今朝の夢をどうしてもサーラと話したくて館に向かう。
っていうか気持ちはもう固まっている。
わたしはあの黒い穴の先に行かなければいけない、と。
こちらでのカケラ集めはプブリウスさんに任せておいてもいい。
残りの半分をなんとかしなければ。
グリフォンよりも先に手に入れなければ、いけない。
そう、少し焦っていたのもある。
でも。
わたし一人なら、少々の危険もなんとかなるかも、だ。
カケラさえ集めてしまえば此処での脅威も減る。
そう、思ってしまったから。
まだちょっと早い時間だけどそのまま空間転移で大門まで移動した。
走り抜ける時間が惜しい。
際奥の間に直接転移も考えたけど、それだとけっこう騒ぎになるかもだし。
出来たらこっそりサーラと会いたかった。
ゲートをくぐり抜けた所で。
……あたしがサーラを呼んであげよっか?
ありがとうナナコ。お願いできる?
ナナコに思念波でサーラに語りかけて貰う、と、かちゃりと寝室の扉が開き、まだネグリ姿のサーラが顔を覗かせた。
「亜里沙ちゃん、どうしたの?」
「うん。ごめんね朝早く。ちょっとリーザやコルネリアには聞かせたく無い話があったの」
「そっか。じゃぁ、こっち来て。わたしの部屋でおはなししましょう」
そう、寝室に招いてくれたサーラ。
この子には隠し事できないし、っていうかしたくないから。
わたしは周囲を見渡し、そして誰もいないことを確認して部屋に入った。