転生少女、と、真皇の光。
転移が終わった瞬間、ドーンという音がして、しばらくして建物が揺れた。
「みなさん、よくご無事で……」
サンドラさまに出迎えられほっとする。
って、みんな、居る? 無事?
周囲を見渡すわたし。
そこにはいつのまにか人型になったレヴィアをはじめ、クロコもシロもちゃんといる。
もちろん、サーラもリーザもコルネリアもみんな無事、だ。
ああ、よかった……。
《ああ、カッサンドラか。久しいな》
「レヴィア様もお変わりなく」
《先代魔王はどうしてこう、我らを悩ませるのだろうな》
「ええ。もう、本当に……。それだけお力の強いお方でしたから……」
って。二人も知り合いなのか……。
……先代魔王の封印は大変だったから、ね。大勢の協力者がいないと無理だったから。
そういえばあの山は?
どうなったのか?と、考える前に、
「あれだけの衝撃がここまで届くくらいですから……。山一つは消滅したかもしれません。追って眼から連絡が入るでしょう。この城下からも爆炎が見えた様ですし……」
ひっきりなしに報告に出入りする侍従。その報告を捌きながらサンドラさまはそう答えてくれた。
「アリシアありがとう、みんなが助かったのはアリシアのおかげだよー」
……うん。よくやったよアリシア。
ありがとう、リーザ、ナナコ。
そう言ってもらえると嬉しい。
「……ごめんなさい、ありがとう、亜里沙ちゃん……。あんな事になるなんて……。わたし、自分の力を過信してた……」
ちょっと呆然としながらサーラ。
「なんとかなるだろうって……。コルネリアさえ取り返せばあとは何とかなるだろうって……。ごめんなさい!」
泣きそうになってそう話すサーラ。
ううん。瑠璃ちゃん。貴女は頑張ったよ。思わず抱きしめて、わたしはそう呟いていた。
「貴女たちが出発すると同時に帝都からプブリウスが派遣されて来て、やはり現在残りのカケラの捜索を開始しています。そして……」
サンドラさまが手を広げると、そこに光の塊が浮き出た。広げた掌の上に浮かぶ虹色の光の塊。
「これが、現在回収されたカケラの全てです。これを、貴女に託しても良いでしょうか? アリシアさん」
……うん。これを扱えるのはアリシアだけ、だし、あのグリフォンに対抗するには力は必要、だよ。
ああ。そうか。そうだよね。
もう甘えていられる時期はとうに過ぎたのかも。
わたしは魔王。
真皇。
この世界に対する責任を取らなきゃいけない、んだよね。
この世界を選んだ責任を……。
わたしはサンドラさまから光の塊を受け取ると、てのひらからそれを自分のインナースペースに収容した。
と、同時に。
心の奥に。何か、が、生まれた気がした。